イングランド銀行(BOE)のアンドリュー・ベイリー総裁は7月10日のスピーチで、中央銀行がインフレを抑制し、金融機関への公的信頼を維持する努力から、仮想通貨がマネーではない理由まで、さまざまな話題について触れた。ベイリー氏は、仮想通貨やステーブルコインよりも、「強化されたデジタルマネー」を好むと述べている。
ベイリー氏によれば、今年初めの米国とスイスで相次いだ銀行破綻は、マネーの単一性と決済の確定性という問題を明らかにした。彼は、仮想通貨とステーブルコインは、単一性と決済の確定性という基本的なテストに失敗すると指摘した(詳細について語らなかったが)。「それらはマネーではない」とベイリー氏は語った。しかし、金融サービス市場法案の通過により、ステーブルコインも規制されるようになるだろうとも語った。
「デジタルマネー」は既に「ITシステム内に完全に保管されている」とし、それは「スマートコントラクトと呼ばれるものにおける条件付きのアクションなど、より多くの実行可能なアクションを添付する能力があるマネーの単位」に強化することができるとベイリー氏は語った。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)が強化されたデジタルマネーの形態となるだろうとベイリー氏は述べた。「私が考える限り、よく設計された強化されたデジタルマネーが中央銀行の専有物である理由はない」と彼は付け加えたが、CBDCは明確な利点を持つと語った。
「私たちがリテールCBDCを推進する主な動機は、人々が日常生活で使用できる完全に機能する中央銀行マネーを常に選択肢として確保することで、マネーの単一性を促進することだ」とベイリー氏は語った。
BOEはリアルタイムグロス決済(RTGS)システムをアップグレードしたばかりだ。「これにより、私たちはトークン化された取引とRTGSの中央銀行デジタルマネーを統合するソリューションを提供するための強固な立場にある。これが最も迅速で効率的なルートだと考えている」とベイリー氏は言う。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン