ブロックチェーン系スタートアップ企業は、2019年上半期において、279の投資企業から累計8億2200万ドル(約885億円)の資金調達を行った。米ベンチャー支援プラットフォーム「アウトライアー・ベンチャーズ」が7月2日に発表したレポート「ブロックチェーンの実態 2019年第2四半期版」で明らかになった。
レポートによると、279件の資金調達のうち、159件は創業初期のスタートアップへのシード資金となっているという。十分な数のスタートアップ企業が、ブロックチェーンの可能性を試す実証実験の段階から移行しており、新たな才能が参入し続けていることを示すと解説した。さらに、複数の仮想通貨取引所によるIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)もスタートアップの資金調達に貢献しているほか、流動性の向上に役立っているとした。
またアウトライアーは、JPモルガン(JPM)、4大会計事務所のひとつアーンスト・アンド・ヤング(EY)などの大手企業が、仮想通貨イーサリアム(ETH)で匿名性の高い取引を実現する仕組みをオープンソースソフトウェア(OSS)として公開した点を指摘。さらに、フェイスブックの仮想通貨リブラを筆頭に、SNSが、従来の広告モデルから何らかの取引により収益を引き出す金融サービスモデルに変化する可能性にも触れた。
ただし、アウトライアーの研究責任者兼パートナーのローレンス・ランディ・ブライアン氏によると、仮想通貨業界における投資動向は、やや低下傾向にあるという。プレスリリースにおいて同氏は、「2018年の強気市場における特大のパフォーマンス」と比較すると、ブロックチェーン業界における大規模な資金調達の発生頻度は今のところ「減少」していると述べた。
また同氏は、規制当局の活動が活発化している一方で、仮想通貨取引所が投資を引き付け続けている点を指摘し、韓国の取引所ビッサム単独で2019年上半期に2億ドル(約215億円)を調達したことを付け加えた。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版