英国が欧州連合(EU)を離脱するブレグジットの日まで半年を切る中、ブロックチェーンがブレグジット後の混乱を収める救世主になるかどうかを巡って議論が起きている。

英国のフィリップ・ハモンド財務相が1日、アイルランドとの国境を超える取引での摩擦を減らす解決策としてブロックチェーンが使えると発言ロイター通信のよると、ブレグジット後、円滑な貿易のために政府は何ができるかと質問されたことを受けてハモンド氏は「専門家ではないが」と前置きしつつも「明らかな技術は、ブロックチェーンだ」と答えた。

この発言に対して、英紙フィナンシャル・タイムズが猛反論。北アイルランドにおける紛争問題は、双方がEUに所属することで落ち着いていたと指摘し、今後どうなるかは様々な政治判断にかかってくると解説した。それにもかかわらず技術が解決するという短絡的な発言をしたとして、アイリッシュ・タイムズに掲載されたIT専門家のコメントを引用し、批判した。

「人々が繰り返し同じ事を言えばやがて真実味を帯びることがあるだろう。国境の問題がそんな簡単に解決できるなら、資源が豊富な米国がメキシコに対して大きな壁を建設しようとするか?」

フィナンシャル・タイムズは、ハモンド氏の発言の背景には先週発表された「ブレグジットのためのブロックチェーン」というホワイトペーパーがあるのではないかと予想。ホワイトペーパーは、国境での円滑な審査と確実に商品を追跡する仕組みを使えば、数十億ポンド節約できるかもしれない」と主張している。

さらにフィナンシャル・タイムズは返す刀で、そもそもブロックチェーンが何なのかよく分からないと指摘。仮想通貨の世界以外では本質的な意味合いが薄められて使われていて、ほとんど意味を持たなくなっていると伝えた。