ピア・ツー・ピア型オンライン学習プラットフォームが時代遅れな教育産業を変えようとしている。

 ブロックチェーンを基盤としたNTOKは、教育における資金調達を容易にし、教師と生徒間の地理的なハードルを取り除くという。さらに、著名な出版社による教科書やコースを備えた高品質な学習環境を提供するようだ。

 NTOKのアルファ版は既にオンライン英語スクールで使用されており、使用感フィードバックをもとに開発が進んでいるという。

 NTOKは外国語学習に特化しているが、プレスクール教育や小中学校での補助学習、コーディングやブロックチェーンのコースも含まれている。

成長の痛みを伴う成長市場

 リサーチ・アンド・マーケットの報告書によると、世界的な個別指導(家庭教師)市場は2016~2020年までの間に年率6.7%の成長が予想されている。

 ところがそんな成長産業にあっても、依然としてオフラインでの学習のほうが重視されているという。学生が何時間もかけて塾に通うのはその一例だ。

 また、個別指導は費用の高さがネックとなっている。特に、生徒と教師をつなぐ仲介業者を介することで受講料が膨らむことが多かった。そのせいで低所得世帯にはとても手が出せないものになっている。

 NTOKは新たなエコシステムを通して個別指導市場を変え、受講費用を75%減少させることを目論む。ホワイトペーパーによると「NTOKでは、すべての生徒が教師を見つけられ、すべての教師が生徒を見つけられる。」

 NTOKでは時間あたりの個人指導受講料金は下がることになる。だが一方で、教師は収入源を複数持てるようになる。例えばNTOKを使うと教師は事前録画されたレッスンを販売したり、開発中の教材のテストに参加することによって出版社から支払いをうけることができるようになるという。

トークン、利用者の声、そしてテクノロジー

 イーサリアム・ブロックチェーンによるニュー・トークン・オブ・ナレッジ(NTOK)は、このプラットフォームでの支払いに使用される。そして同トークン保有量の大きな教師は、検索順位が上位になるという形で報酬を受けることになる。

 NTOKによると、口コミサイト等では感想やコメントの多くはしばしば編集されており、否定的なレビューは削除されている。NTOKはブロックチェーンを使うことでこういった口コミの人為的操作を防ぎ、生徒が正確な情報に基づいて教師を選択できるようになることを期待している。

 ちなみに教師の総合評価は過去30日の平均に基づいて行われ、1件の低評価が不釣り合いに教師の評価を引き下げてしまわないように設定されている。

 NTOK内の学習コーナーの開発は同社にとって中心的な部分であり、ユーザーはインタラクティブなホワイトボードやファイル共有、そして現在個別学習環境で一般的に使用されているソフトウェアである「Skypeより高品質な」音声・ビデオ通話が提供される。

 NTOKのプラットフォームは「人材のトークン化」というアイデアを体現し、「生涯教育のための3レベルのブロックチェーンインフラ」に進化するという。そこでは、生徒は定額で個別学習の時間をまとめ買いすることができ、将来的にサービスが値上がりするのを防ぐことができる。さらに、教師も自身の「個人的成長への前払い」を可能にするという。

NTOKの今後

 NTOKの開発は継続中で、同時通訳のためのタブレットやイヤフォンなど、学習を補助するための機材販売が今後含まれるかもしれない。

 また、語学市場はNTOKにとって大きなフォーカスのひとつだ。事業開始後の3年間は、中国、韓国、日本が主要市場となる。その次はスペイン語圏、それからアメリカとイギリスである。

 経験豊富な教師たち、ソフトウェア・エンジニア、そして起業家によるチームに支えられ、NTOKのICOは4月15日に終了する。

 NTOKはベータ版の開発に向けこれまで仮想通貨と法定通貨の両方で資金調達してきた。今回の調達額のハードキャップは1500万ドルで、トークンの70%が一般向けに販売されている。十分な量のトークンを持つ人々には、NTOKエコシステムにおける今後の新機能に投票する機会が与えられるという。

 

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