昨年から盛り上がりを見せるビットコインやイーサリアム相場の陰で、冴えない動きとなっている仮想通貨がある。

分散型アプリの作成を容易にすると標ぼうしていたブロックチェーンEOS(イオス)だ。仮想通貨バブルの余韻が冷めやらぬ2018年にICO(イニシャル・コイン・オファリング)史上最高額となる約4300億円を調達したが、翌年には未登録ICOを行なったとして約26億円の罰金を課されていた。

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今では時価総額ベースでトップ10位にも入らない状態だが、リスクを承知でEOSを買うべき理由が存在するという。

EOSの運営会社Block.oneが保有する巨額のビットコインだ。

米仮想通貨ヘッジファンドのアルカ(Arca)の最高投資責任者であるジェフ・ドーマン氏によると、今回の強気相場で上昇していない仮想通貨はXRP以外ではEOSのみだ。最近では「EOSの天才エンジニアが退職、次の動きは検閲されないSNS構築か?」という悪材料も出ており、これまでの12か月で26%下落している。

それでもドーマン氏が注目するのはBlock.one社が保有する14万BTCだ。これは5700億円相当のビットコインだ。EOSの時価総額である2800億円を優にこえる額だ。

米証券アナリスト(CFA)でもあるドーマン氏は「現価格でEOSを買うのはビットコインを18771ドルで買うのと同等だ」と語っている。

また同氏によるとBlock.one社は手元の資金を有効に使ってROI(投資リターン)をあげるか、資金を投資家に返還するかを求められる。いずれにしても眠る資金が動きだしリターンを生み出す可能性があるというわけだ。

とはいえ仮想通貨投資は企業の株を買う株式投資とは異なる。EOSを買ってもBlock.one社の株や同社が所有するビットコインを買うことにはならない。ドーマン氏の見解は証券投資アナリストならではの発想といえ、安易な賛同は禁物だ。

ツイッターで影響力のあるユーザーPeter McCormack氏は「EOSはビットコイン強盗に他ならなかった」と断罪している