仮想通貨取引所大手ビットフィネックスが仮想通貨ドージコイン(DOGE)を上場させると発表した。中国発の人気動画投稿アプリTikTok効果で価格も注目度もうなぎ上りのドージコインにビットフィネックスがすぐさま反応した形だ。

7月10日、ビットフィネックスはドージコインの預金はすでに可能で同日にサポートを開始すると発表した。

ドージコインにとって不思議な1週間の締めくくりがドージコインになった。

今週のドージコインは、TikTokでの動画による宣伝キャンペーンで急騰した。7月8日時点で取引高は2000%超の増加となっており、グーグルトレンドでもドージコインへの関心の高まりを確認することができる。

#DogecoinTiktokChallange」というハッシュタグが付けられ、ソーシャルメディアで拡散されている。火付け役となった動画は50万回以上再生されている。この動画では、DOGEを1ドルまで引き上げようと呼びかけている。

執筆時点でドージコインは、0.0036ドル。1ドルまではまではまだ程遠い。また8日につけた0.005ドルからは30%下落しており、今週のピーク時と比べて勢いは衰えている。

(出典:Coin360 「ドージコイン/米ドル(1週間)」)

とはいえ過去1週間ではドージコインは56%以上のプラス。ドージコインを買おうと取引所を探す新たな投資家をビットフィネックスは逃したくなかったのかもしれない。ビットフィネックスの最高技術責任者(CTO)のパオロ・アードイノ氏は興奮した様子で「解き放て」とツイートした

Google search interest in Dogecoin vs. Bitcoin

(出典:Googleトレンド「ドージコインとビットコインの関心度比較」)

ドージコイン  主流メディアにも登場

ドージコインは、メインストリームのメディアにも進出を果たした。

ブルームバーグは、今回のドージコイン急騰について、仮想通貨ヘッジファンドのプロチェイン・キャピタルの最高技術責任者、ジャスティン・リッチフィールド氏はの見解を掲載。投資アプリのロビンフッドなどで誰もが手軽に仮想通貨投資に参入できるようになったことに加えて、ドージコインの投資家がDOGEを吊り上げるためのパンプ&ダンプ(風説の流布)を行っている可能性を伝えた。

ただ、ドージコインの運営者側は、今回の動きを警戒している。「ほかの人々のFOMO(乗り遅れることへの恐怖)やマニピュレーション(市場操作)に乗らないで欲しい」と投資家に呼びかけた。

ドージコインは2013年後半にライトコイン(LTC)からハードフォークした仮想通貨。創設者であるジャクソン・パルマー氏は、この仮想通貨はあくまで「ジョークだ」と公に述べている。2018年1月、仮想通貨が熱狂的なバブルの中にあった際、パルマー氏は「私のジョーク仮想通貨が20億ドルに達した、これは何かが間違っている」という記事を寄稿していた。

他のアルトコインもTikTokで爆上げ?

バブルからから2年半。ビットコイン2万ドル回復など久々の仮想通貨バブル到来がささやかれる中、「#DogecoinTiktokChallange」は実現に向けた1つの方法ともいえよう。他のアルトコインもTikTokでチャレンジすれば上昇するのではないかとも考えられるが、米中関係がネックになりそうだ。

日本と同じように米国でも若者を中心に人気のTikTokだが、7月7日に米国のポンペオ国務長官がTikTokの禁止を検討していると発言。背景にあるのは、中国政府がTikTokを使って米国人の個人情報を集めているのではないかという懸念だ。

米軍はすでにTikTokの利用を禁止している

7月11日、米アマゾン・ドット・コムは、セキュリティー上の懸念があるとして、社内の電子メールシステムにアクセスできる携帯デバイスからTikTokのアプリを削除するように要請。アマゾンの広報は直後に社員への連絡は「誤って送信された」と釈明したものの、TikTokをめぐり米国の対応に変化がみられ始めている。