ビットコイン(BTC)の価格は1月23日、50日ぶりに39,000ドルを割り込んだ。下落トレンドは1月11日に始まっており、米国証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物ETFの承認と重なった。1月23日までの12日間で17.5%下落し、ロング(買い)のビットコイン先物契約で総額3億8500万ドルの清算が行われた。

米経済は株式市場に有利に作用

マクロ経済の観点から、2024年は米ドル指数(DXY)が反転した。DXYは、ユーロ、英ポンド、日本円などの外国為替と比較した米ドルの強さを示す指数だ。2023年12月28日に100.80ドルまで下落し、5か月ぶりの安値を記録した後、米ドルは勢いを取り戻し、現在は103.75ドル付近で推移している。この動きは、財政問題にもかかわらず、投資家は米ドルが少なくとも相対的に有利であると考えていることを示唆している。

Bitcoin/USD price index (right) vs. DXY index (left). Source: TradingView

アナリストやエコノミストは、米連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレを抑制しながら経済の収縮を招かないという戦略が成功していると高く評価している。米国の1年先のインフレ率予想は、2023年12月の3.09%から、2024年1月には2.43%に下落。一方、景気後退は視野から外れており、コンファレンスボードの「経済予測」では、米国の国内総生産(GDP)は第1四半期に1.7%成長し、第2四半期には2.4%成長すると予想されている。

CMEグループのFedWatch Toolによると、3月の利下げの可能性は前週の81%から47%に低下した。さらに投資家は、2024年に5回の利下げを予想しており、以前の予想は6回だった。CNBCの報道によると、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のラファエル・ボスティク総裁は、利上げの余地がなくなったとしても、すぐに利下げをするつもりはないことを表明している。

S&P 500指数が現在過去最高に近いため、リスク資産に影響を与える外部要因はビットコインにも有利に作用すると考えられるはずだ。しかし、株式市場の原動力と、仮想通貨を含む商品の原動力はまったく異なる。まず、米国上場企業500社の現金保有額は合計2.6兆ドルに上り、そのうち一部は配当を支払っているため、景気後退が軽微な場合の安全資産としての役割を果たしている。

ビットコインの価格は現物ETFの流出とマウントゴックスの弁済計画が重し

リスク資産とみなされるだけでなく、ビットコインは独自の問題にも直面している。その1つが、1月17日以降の現物上場投資信託(ETF)の純流出だ。

Xのソーシャルネットワークに投稿されたCapital15Cのレポートによると、1月22日時点で、米国で上場したETFが保有するビットコインの総数は64万5054BTCに減少した。3営業日で1億8300万ドルの流出は、絶対的な額で見ると小さいように思えるかもしれないが、現物ETFの発売後の投資家の期待に反している。

ビットコイン投資家のもう一つの懸念材料はマウントゴックスの弁済の動きで、今後、約142,000 BTCが放出される見込みだ。いくつかの最初の支払いは2023年12月に発生したが、管財人は2024年10月までに債権者に完済する予定。最後に、特に米国における否定的な規制圧力は、ビットコインにとって直接的な意味を持たないかもしれないが、ステーブルコインや取引所に影響を与える可能性がある。

1月21日にエリザベス・ウォーレン米上院議員は、「ならず者国家が仮想通貨を使って制裁をかわし、国家安全保障を損なっている」と主張する報告書を投稿した。仮想通貨コミュニティは、「法定通貨は金融犯罪に好まれる通貨である」と反論。この主張は事実である一方で、規制措置による潜在的なマイナスの結果や、それに続く短期価格への影響を減じるものではないだろう。