フィデリティ・デジタル・アセットによると、ビットコイン(BTC)の中期的見通しは「楽観」ゾーンに入りつつあり、市場評価が「割安」へと向かっているとされている。

同社はその根拠として「ビットコイン・ヤードスティック」と呼ばれる指標を挙げた。これはビットコインの時価総額をハッシュレートで割った数値で、値が低いほどネットワークのエネルギー安全性に対して「割安」であることを示す。

2025年第1四半期、この指標は-1〜+3の標準偏差内に収まり、2024年第4四半期に見られた過熱状態から落ち着きを見せた。2を超えた日数は22日から15日に減少し、3を超える日はなかった。これは、ネットワークの強度に対する価格が以前よりも割安であることを意味している。

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Bitcoin Yardstick chart. Source: Fidelity Digital Assets Report

また、ビットコインは現在「加速フェーズ」にあり、新高値へのラリーも珍しくないと同社は述べる一方で、「ブローオフトップ(急騰後の急落)」のリスクにも注意を促している。

長期保有志向も強まっている。流動性の低い供給量は61.50%から63.49%に増加し、流動性の高い供給量は4%減少した。これは、より多くの投資家が長期保有に傾いていることを示している。

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Bitcoin Liquid and Illiquid supply. Source: Fidelity Digital Asset Signals Report

こうした動向と一致する形で、4月28日にはブラックロックのビットコインETFである「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」において、9億7090万ドルの大規模な資金流入が記録された。これは、2024年1月のローンチ以降で2番目に大きな1日あたりの流入額となる。

IBITは4月22日以降、すでに45億ドル超の純資金流入を記録しており、同期間に流出超となったフィデリティのFBTCやARKのARKBとは対照的な動きを見せている。運用資産は540億ドル超に達し、米国の現物ビットコインETF市場において51%のシェアを占めるまでになった。

米労働市場の冷え込みがビットコインを押し上げ

2025年3月に発表された米雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が2月の757万件から719万件に減少し、予想の748万件を下回った。これは労働市場の減速を示すもので、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待を強め、ドル安とともにビットコインのようなリスク資産を押し上げる材料となった。

逆に、予想を上回る数値が出れば、経済の強さが示され、利下げ開始の遅延が警戒され、仮想通貨価格に圧力がかかる可能性もある。現在、連邦政府によるレイオフは2020年以来の高水準に達しており、市場ではややハト派的な見方が優勢となっている。

エコノミストでビットコイン支持者のアレックス・クルーガー氏は、JOLTSデータがビットコインにとって短期的に有利に働くと指摘。「リスク資産と金のハイブリッド」であるビットコインは、トランプ氏による90日間の関税猶予(7月8日まで)を受けた緊張緩和の恩恵を受けやすいと述べている。

クルーガー氏はXへの投稿で、次週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でパウエル議長が早期利下げの可能性に言及するかどうかが焦点になるとの見方を示した。また、キャタピラーや大手テック企業の業績見通しにも注目が集まっていると述べている。

同氏はまた、第3四半期には経済減速による市場の変動性が高まる可能性があると警告しつつ、アルトコインに過熱感が見られる中で、「ビットコインのリスクリターン特性は際立っており、相対的に優位に立つ」との見解を示している。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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