ビットコイン(BTC)は1週間で12%の上昇を見せ、米国の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)への資金流入も急増している。こうした状況を受け、一部のアナリストはBTC価格が10万ドルに到達する可能性があると見ている。
しかし、10xリサーチの調査責任者であるマーカス・ティーレン氏は、重要な指標がまだ明確な強気サインを示していないとし、慎重姿勢を崩していない。
ティーレン氏は4月23日に発表した市場レポートの中で、「ステーブルコインの発行指標が依然として低水準にとどまっていることから、今回のビットコインの上昇が持続的かどうかには慎重な姿勢を取っている」と述べた。
ステーブルコイン流入の鈍化が上値を抑制か
ビットコインは現在、トレーダーの間で強気の反転サインとされる「下降ウェッジ」パターンからの上昇が進行中で、理論上のターゲットとして9万9000ドルが示されている。しかしティーレン氏は、「ステーブルコインの強い流入が見られない点が、今後の上昇の継続性に疑問を投げかけている」と指摘する。
執筆時点で、ビットコインは9万3133ドルで取引されており、直近7日間で11.42%上昇している。
ティーレン氏は、ステーブルコインの資金流入は「より定着性のあるマネーと相関が高い傾向にある」と述べ、「先物市場のレバレッジ増加は短期的なトレーダーが価格の急上昇を利用しているだけの可能性がある」としている。
ビットコインETFへの流入は「需要主導の上昇」を示唆
こうした中で、米国の現物ビットコインETFには4月22日に9億1270万ドルの流入があり、これは1月17日以来の最高水準となった。
Swyftxのリードアナリストであるパヴ・フンダル氏は、「この流入は真の“需要主導の上昇”を示している。単なる先物市場の短期的な興奮とは異なる」とコインテレグラフに話す。
「ニュースの見出しが落ち着けば、予想よりも早く過去最高値を更新する可能性もある。10万ドルへの急上昇は十分あり得ると思うが、トランプ政権下では状況が急変することも多い」
ティーレン氏も「不確実性がさらに後退すれば、上昇の勢いが加速し、より持続的な上昇を支える流動性が確保される可能性がある」としている。
トランプ氏の関税政策が市場心理に影響
仮想通貨市場は、米国のトランプ大統領が2月はじめに関税を発表したことをきっかけに、他の金融市場とともに不安定な動きを見せていた。
しかし最近、トランプ氏が貿易戦争に関する姿勢をやや軟化させたとの見方が強まり、市場ではこれを好感する動きが出ている。
ティーレン氏は、「ビットコインにとって9万5000ドルは重要なレジスタンスであり、ショートポジションのロスカットを誘発する可能性のある水準だ」と説明。市場の勢いが維持されれば、価格のさらなる上昇につながる可能性があると述べた。
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