トランプ大統領による世界規模の関税導入を受け、ビットコイン(BTC)が米ドルに代わる価値保存手段として、かつてないほど注目を集めている。複数のアナリストは、将来的にビットコインがドルを凌駕する可能性がこれまでになく高まっていると指摘している。
ビットワイズ・インベストのアルファ戦略責任者ジェフ・パークス氏は、4月9日のX投稿で「今日以降、自分が生きている間にビットコインがドルよりも生き残る可能性が高くなった」と発言。「この考えが頭をよぎり、それが単なる理論でなく、現実として直視すべきものだと感じたのは初めてだ」とも述べている。
「投資家にはビットコインしか残されていない」
ビットワイズのハンター・ホースリーCEOも同様の見解を示しており、「米ドルへの信頼が低下し、他の外国通貨もそれ以上に脆弱と見なされる中で、投資家にとって選択肢はますます限られてきている」と述べた。
従来、安全資産とされてきた金(ゴールド)についても、輸送や保管の問題があるとし、「最終的に人々はビットコインを買うしかない」と語っている。
トレーディングビューのデータによれば、主要通貨バスケットに対する米ドルの強さを示すドル指数(DXY)は、年初から5.84%下落し、現在102.193で推移している。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、ウォール街の多くのアナリストは、トランプ氏の関税政策がドル高要因になると誤って予測していたという。
ドルを脅かすトランプ関税──BTCへの資金流入を後押しか
4月2日、トランプ大統領はすべての国からの輸入品に対して10%の基本関税を課す大統領令に署名し、これが4月5日から発効した。さらに、米国との貿易赤字が大きい国々に対しては、より厳しい「相互関税」が4月9日から適用されている。
こうした関税政策と景気後退への懸念が、伝統的金融市場および仮想通貨市場における急落の主な引き金となっている。
コインマーケットキャップのデータによれば、ビットコインは記事執筆時点で7万6301ドルで取引されており、年初から18.37%の下落となっている。
ビットコインに関する著書で知られるセイフェディーン・アモス氏は4月8日、Xへの投稿で「米国の問題は特定の国との貿易赤字ではなく、世界中の貿易赤字の合計にある」と述べ、「それは米国が“フィアットマネー印刷機”を持っているからだ」と指摘した。
アモス氏は、「世界がドルを使い続ける限り、ますます多くのアメリカ人が印刷されたカネで生活できるようになる」と批判し、その解決策として「偽の通貨を刷るのをやめ、ハードな価値保存資産に移行するべきだ」と主張した。その例としてビットコインや金(ゴールド)を挙げたうえで、「もう1つの解決法は、世界がハードマネー基準に移行し、アメリカの“シットコイン”の使用をやめ、トランプ氏が求める貿易黒字を実現させることだ」と皮肉を込めて投稿している。
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