2024年4月のビットコイン(BTC)半減期まで残り7ヶ月だ。この半減期はおおよそ4年ごとに起こり、新たなコインの生産量を50%減らすデフレ的なプロセスだ。

ビットコインの半減期は仮想通貨投資家にとって注目を集めるイベントであり、歴史的にはビットコインの価格が上昇トレンドにつながってきた。ただし、マイニング業界への影響はより複雑な問題だ。ブロック報酬、つまりマイナーの主要な収益源の1つを減少させてしまう。2024年の半減期で、それは6.25 BTCから3.125BTCに減少する。そのため、マイナーは半減期による報酬の減少を補うために戦略を展開する必要がある。

厳しい市場環境の中でビットコインマイナーを採るべき戦略と代替収益源について探究してみよう。

変わるマインドセット

ビットコインマイニングは、マイナーがブロック報酬を競い合う競争的なプロセスだ。この競争はビットコインのブロックタイム(1ブロックあたり約10分)で行われる。ネットワークの計算能力が1kH/sと比較的低くとも、2億TH/sに急増したりしても、同じブロック報酬がマイナー間で分配される。

この競争的な環境は、マイナーがエネルギー効率とコスト効果の高いハードウェアの使用を優先するように促す。ブロック報酬が50%削減される各半減期イベントで、この効率性を追求するトレンドは勢いを増す。次の半減期後に1BTCを生産するためのコストがおおよそ2倍になるため、マイナーは利益性を最適化する方法を探究し、以下の3つの重要な要素に焦点を当てる必要があるだろう。

マイナー生き残りに必要な3つの要素

最初で最も重要な「クジラ」は電気代だ。JPモルガンによれば、1キロワット時(kWh)あたり1セントのわずかな変動でも、BTCの生産コストでは3800ドルの差が生まれる。半減期後の収益性を強化するために、マイナーはより収益性のある契約を模索し、電力価格が低い国・地域への移転を検討している。彼らはさらに、使われていないガスからの発電も考慮している。私は、2024年4月以降に利益を維持するためには、マイナーが5セント/kWh以下の電気料金を確保することが重要であると考えている。

2つ目の主要な要素は、マイニング装置の効率性だ。例えば、60 J/THの効率評価を持つ装置から22 J/THのものにアップグレードすると、BTCマイニングの毎日のコストは63%以上削減することができる。より効率性が優れたハードウェア、より低い電力コストから恩恵を受けるマイナーが最も利益を上げる。こういったマイナーが、次回の半減期のような重大な市場イベントを乗り切る可能性が最も高いだろう。

さらに、私はマイナーが収益性の高い期間にマイニングしたBTCで余剰資本を積み重ねる第三の戦略を提案したい。この余剰資本は、半減期後のブロック報酬の減少の影響に対するバッファとして機能する。半減期後の上昇が起きると、マイナーは高い利益率でこの資産を売却することで、損失を相殺することができる。

電気料金を低く抑える、よりエネルギー効率の高いマイニング機器を採用する、余剰資本を活用するといった戦略によって、悪影響を緩和することはできるだろうが、2024年の半減期はマイナーに多大なプレッシャーをもたらす。それは多くのマイニング企業の事業停止につながる恐れもある。そのため、マイナー―は別の収益源を模索する必要があるだろう。その1つとして考えられるのが、ビットコイン・オーディナルズのようなプロジェクトだ。

代替的な収益源

ビットコイン・オーディナルズは最近、ビットコインネットワーク内の取引手数料を新たな高値に押し上げたことで注目を集めている。オーディナルズの「インスクリプション」、すなわち各サトシに添付されるメタデータは、非代替性トークン(NFT)に似て、ビットコインのブロックチェーン上で直接作成される独自の資産だ。これを取得するには、ユーザーは通常、オーディナルを担当するプラットフォームやプロトコルを利用する。

インスクリプションの数が増加するにつれて(8月時点で2550万を超える)、取引から生まれる収益も増加しており、現在5300万ドル以上に達している。この傾向は、マイナーにとって代替的な収益源が長期的に目立つようになることを示唆している。

オーディナルズがマイナーの収益性の方程式を変えるだろう。インスクリプションの作成に対するユーザーの需要を高め、ビットコインネットワーク上でのトランザクション処理を開始し、次のブロックに自分たちの取引を含めるようにマイナーにインセンティブを与えることが考えられる。

マイナーば半減期後の状況により効果的に適応するため、ビットコインネットワーク上でさらに多くの展開があることが確実に予想される。半減期イベントに近づくにつれて、マイナーは前述の戦略を最優先にし、新たな代替手段に対しても開かれた姿勢を保つべきだ。

ディダール・ベクバウォフ氏(Didar Bekbauov)は、2019年に共同設立したビットコインマイニング企業XiveのCEOである。以前はHiveマイニングのマネージング・パートナーを務めていた。カザフスタン・ブリティッシュ工科大学から学士号、イギリスのロバート・ゴードン大学から金融管理の修士号を取得している。また、テキサス州ヒューストンにあるファウンダー・インスティテュートのスタートアップ・アクセラレーター・プログラムでメンターとしても活動している。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。