英国財務省は26日、国の金融政策に関するレポート「マネーロンダリング及びテロリストへの金融に関する国家リスク評価 2017」を発表し、金融をめぐる多くのテーマについて分析の概要を示した。報告書は、国家犯罪対策庁 (NCA) の見解として、ビットコインとそれが犯罪へ悪用される可能性を取り上げている。

「マネーロンダリングのリスクは低い」

ビットコインは、大抵の場合マネーロンダリング (資金洗浄) に使われている、という意見が広まっている 。例えば、資産運用会社ブラックロックのCEOラリー・フィンク氏はこの立場である。しかし、報告書は、マネーロンダリングのリスクが比較的低いことを示している。レポートによると、以下の通りだ。

NCAは、デジタル通貨がマネーロンダリグに使用されるリスクは比較的低いと評価している。NCAは、デジタル通貨が少額の洗浄を大量に行うのに使用されている可能性が高いと見ているものの、高額の洗浄に使われているという証拠はほとんどない。

現実にはマネーロンダリングが起きている一方、額は少なくイギリスの犯罪組織に利用されるリスクは小さい、とレポートは詳述している。

サイバー犯罪の一助となりうるのは確か

報告書によると、マネーロンダリングのリスクは比較的低いが、ビットコインはサイバー犯罪にとって比較的悪用しやすいのは事実だ。第一に、仮想通貨を使って、犯罪者は簡単に支払いを要求することができる。第二に、仮想通貨は、犯罪者の間で「サービスとしての犯罪」の手法を使いやすくする。第三に、サイバー犯罪の収益を洗浄する方法を提供する。

レポートの結論は、デジタル通貨を採用すると、犯罪に使用される事態が増えるという結果につながる、というものだ。結論では以下のような可能性が述べられている。

このようなリスクは、デジタル通貨がますます実行可能で人気の支払い手段になるにつれ高まると見られる。デジタル通貨での支払いを受け入れる企業の数が増えるにしたがって、犯罪者がその通貨を使って、デジタルでない法定通貨にかえる必要なく資産を洗浄できてしまうリスクが高まる。