ビットコイン(BTC)は、6月25日以降、6日連続で3%未満の値動きにとどまっており、異例の低ボラティリティとなっている。この膠着状態の中で、米ドル安が突破口になるのではないかとの観測がトレーダーの間で広がっている。米国の財政状況が悪化するなか、ドルの下落がビットコインの上昇を後押しするというのだ。
ただし、ビットコインが11万ドルを突破するには、ドル安以外にも複数の要因が重なる必要がある。
ビットコインの価格と米ドルの強さには逆相関があるとよく言われるが、実際の相場では同じ方向に動く期間もある。たとえば、2024年8月から2025年4月にかけての8か月間では、ドル指数(DXY)が100から110まで上昇する一方、ビットコインも堅調に推移し、その後DXYが104まで下落するとともにビットコインも弱含んだ。この事例は、ドル安だけを材料に強気相場を語るには根拠が乏しいことを示している。
インフレ再燃と資本移動がBTCを押し上げるか
多くの投資家にとって、ビットコインはいまだ「リスクオン資産」とみなされており、伝統的金融資産と完全に相関を持たない存在とは認識されていない。ナスダック100が6月30日に史上最高値を更新したこともあり、市場全体にリスク選好のムードが戻りつつある。この流れの中で、一部の投資家は債券などの安全資産から、ビットコインを含む高リスク資産へと資金をシフトさせている。
ビットコインが11万ドルを超える可能性を高めるもう1つの要因が、インフレ圧力の再燃だ。米個人消費支出価格指数(PCE)は、2025年3月から5月にかけて2.3%以下の水準に落ち着いていたが、それ以前の5か月間は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標を上回る水準が続いていた。
4月に米国で発動された10%の輸入関税は、サプライチェーンの調整を経て、徐々に消費者価格へ転嫁されている。データ解析企業データウィーブの共同創業者兼CEOのカールティク・ベッタダプラ氏はヤフーファイナンスに対し、「6月に入って広範囲にわたる価格上昇が確認されており、販売業者が原価上昇に対応し始めた」と語っている。
ビットコインとインフレ率の相関性が明確に確認されているわけではないが、仮想通貨は2021年の強気相場以来、インフレヘッジ資産として語られてきた。デジタル・ゴールドと称されるビットコインだが、2024年にはインフレ率が低下するなかでも114%の上昇を記録しており、必ずしもインフレ依存型ではないことも示唆している。
ビットコイン自体とは直接関係しないものの、企業向けBTC保有で知られるストラテジー社(MSTR)がS&P500指数に採用される可能性が、新たな価格上昇要因として一部で注目されている。セムラー・サイエンティフィックの取締役であるジョー・バーネット氏は、「もしMSTRがS&P500に採用されれば、パッシブ資本の津波がビットコインに向かって流れ込むだろう」と述べている。
最終的に、ビットコインが11万ドルを超えるには、株式市場の最高値更新によるリスク資産への資金流入、インフレ懸念の再燃、そしてMSTRのS&P500採用といった複数の要因が重なり、相場に追い風が吹く必要があるだろう。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】
S.BLOXに口座開設をして最大で3,000円のビットコインがもらえるリニューアルキャンペーンを実施【PR】