4月11日のウォール街での取引開始とともに、ビットコイン(BTC)は8万3000ドルに向けて上昇し、週末を前にした米国のインフレ指標が強気派に希望をもたらした。

BTC/USD 1-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView

 予想を下回ったPPIが追い風に

トレーディングビューのデータによると、BTC/USDは8万3245ドルの高値をつけた。これは、米国の生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことを受けた反応だ。

PPIは予想の3.3%に対し、実際には2.7%にとどまり、コアPPI(食品・エネルギーを除く)も下振れした。

米労働省労働統計局(BLS)の公式発表では、以下のように説明されている。

「3月の最終需要指数の下落の70%以上は、最終需要財の価格低下(−0.9%)によるものである。最終需要サービス指数も0.2%下落した」

US PPI for final demand. Source: BLS

インフレ鈍化でも株式市場の反応は限定的

トレーディングアカウントのコベイシレターもXの投稿で、インフレが減速している点を強調した。

「2024年3月以来、初めてPPIインフレが前月比でマイナス(−0.4%)となった。CPI(消費者物価指数)もPPIも明確に下落している」と述べている。

S&P 500 4-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView

しかし、こうしたインフレ鈍化のポジティブなデータにもかかわらず、リスク資産の反応は鈍かった。この日、S&P500は0.2%下落し、ナスダック総合指数はほぼ横ばいだった。

前日のCPIでもインフレ鈍化がみられたにもかかわらず、株価とBTCは反応が鈍かった

仮想通貨アナリストのマイケル・ヴァン・デ・ポッペ氏は、PPI発表後の市場の動きを受けて次のように分析している

「PPIが大幅に下振れた。これはトランプ大統領とその関税戦略にとって好材料だ」と述べ、米国の貿易政策との関連性を指摘した。「解決すべきは継続中の貿易戦争だけだが、状況は着実に整いつつある」と同氏は続けた。

DXYが2022年以来の100割れ

リスク資産にとって通常は追い風となるもう1つのマクロ要因であるドル安も注目を集めている。

米ドル指数(DXY)は、米国の主要貿易相手国の通貨バスケットに対するドルの強さを示す指標であるが、今回2022年以来初めて、心理的節目である100を下回った。

米ドル指数チャート  Source: Cointelegraph/TradingView

歴史的にみて、DXYが長期的な安値にあるときは、遅れてビットコインが強気相場入りする傾向が見られている。

仮想通貨アナリストのベンチャーファウンダー氏は今週のX投稿で「DXYの下落は歴史的にビットコインに非常に強気である。現在、DXYは巨大な弱気のダイバージェンスを形成しており、90まで落ちる可能性がある」と述べた。

「このパターンが直近2回起きた際には、ビットコインは強気相場の最終局面でパラボリック(放物線的)な急騰を見せた」

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。