4月10日、ビットコイン(BTC)価格は週明けの上昇を維持できず、米株式市場がインフレ改善の兆しに反応しなかったことも重なり、再び不安定な値動きとなった。

BTC/USD 1-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView

Cointelegraph Markets ProおよびTradingViewのデータによると、3月の消費者物価指数(CPI)の発表にあわせて、ビットコイン(BTC)の価格変動が拡大した。

このCPIは全体的に市場予想を下回り、米国の貿易関税による市場全体の混乱にもかかわらず、インフレ圧力が鈍化していることを示した。

米労働統計局(BLS)の公式プレスリリースには次のように記されている:

「2024年3月までの12カ月間において、『全品目指数』は前年比2.4%上昇し、これは2月までの12カ月間の2.8%上昇から低下したものである。食品とエネルギーを除く『全品目指数』は過去12カ月で2.8%上昇しており、これは2021年3月以降で最も小さい12カ月の上昇率である。」

US CPI 12-month % change. Source: BLS

インフレ減速は本来リスク資産にとって追い風だが、米株市場は取引開始時点で反応を見せなかった。記事執筆時点で、S&P500指数とナスダック総合指数はそれぞれ3%および3.7%下落していた。

「市場は、直近の強い雇用統計と今回のインフレ減速により、トランプ政権が対中関税戦争を継続する“お墨付き”を得たと考えているようだ」と、マーケット情報を発信するThe Kobeissi LetterはX(旧Twitter)で述べた。

ただしKobeissiは、急激に低下しているインフレの意味についても指摘している。

「これは過去4年間で最も低いコアCPIインフレ率である」と同アカウントは別の投稿で述べた。

「また、ヘッドラインCPIはFRBの2%目標をわずか40ベーシスポイント上回る水準にある。インフレ率は過去3カ月で60ベーシスポイント低下している。」

ビットコインの反発は「Spoofy the Whale」次第か

ビットコインの価格動向に話題を移すと、市場参加者は、米国が大半の関税措置を90日間凍結したことを受け、様子見姿勢を取っている。

著名トレーダーのDaan Crypto Tradesは、強気派にとってはまず8万3,000ドルを回復することが必要だと述べた。

「関税の一時停止が発表されて以降、BTCは強い動きを見せた」と同氏はXで述べた。

「下落局面でBTCは比較的底堅かったが、株式は関税の直接的影響を受けるため、今回の停止でより大きく上昇した。これは自然な反応だ。」

同氏が示したチャートには、現値付近の主要なトレンドラインが描かれていた。

「BTCは、過去数週間にわたり価格の上値を抑えていた4時間足の200日移動平均線(紫)に再び接近している。この8万3,000〜8万5,000ドルの水準は、強気派が超えるべき重要なゾーンだ」と続けた。

「一方で、8万1,100ドル付近の水平線は短期的に注視すべき重要な水準だ。この水準を下回って推移するようなら、“だまし”やストップ狩りの展開につながる可能性もある。」

BTC/USDT perpetual swaps 4-hour chart. Source: Daan Crypto Trades/X

注文板の流動性を分析したMaterial Indicatorsの共同創業者Keith Alanは、日足チャート上の21日および50日単純移動平均線(SMA)に注目している。

「21日移動平均線を突破しようとした最初の試みは失敗に終わったが、BTCの買い注文は高い水準に移動しており、再挑戦があると見ている」と同氏はその日の早い時間にまとめていた。

「強気派が21日線をレジスタンスからサポートに転換できれば、次の強い抵抗は、トレンドラインおよび50日移動平均線周辺の厚い流動性帯になる。」

BTC/USD 1-day chart with 21, 50 SMA. Source: Cointelegraph/TradingView

Alanは、スポット価格の上下に流動性を移動させて価格に影響を与える大口トレーダーの役割についても繰り返し指摘しており、特に「Spoofy the Whale」と呼ぶ存在の動きを注視している。

「もし“Spoofy”が天井を引き上げるような動きを見せれば、100日移動平均線および2025年始値である9万3,300ドルが視野に入り、10万ドル台のビットコインへの再突入の入り口となる」と結んだ。

BTC/USDT order book liquidity data. Source: Keith Alan/X