ビットコイン(BTC)価格は、過去10か月間の抵抗レベルとなっていた3万ドルをとうとう突破した。ビットコインは、28,200ドル近辺での極端に低いボラティリティが続いた12日間の苦しい期間を終わらせ、4月10日にBTC価格は6.5%上昇した。今やBTC価格が年初から82%上昇したことを考慮すると、弱気相場が終了したと強気派は確信している。
また、興味深い点として、ビットコインと伝統的な市場とのデカップリングも発生している。4月10日のS&P500指数はわずか0.1%上昇し、WTI原油が1.2%下落している。ビットコイントレーダーは、連邦準備制度制度理事会(FRB)が金利政策を転換させることを期待している可能性が高い。
スタグフレーションリスクがデカップリングの理由か?
高金利環境下では、企業や家族は借金のリファイナンスに追加コストがかかるようになり、固定収益投資をより魅力的にする。米FRBの最近の引き締め政策の転換は、リスク資産にとって強気なものとされている。しかし、スタグフレーションへの恐怖感もある。つまりインフレ上昇とマイナス経済成長の期間は、株式市場にとって最悪のシナリオとなる。
固定収益投資をするトレーダーは、FRBがもう1回の利上げを行う可能性があると賭けている。最新の経済データは適度なレジリエンスを示しているからだ。例えば、4月7日に発表された米国の失業率3.5%は、半世紀ぶりの最低水準となっている。
ブルームバーグによると、FRBが4月29日に政策金利を0.25%引き上げる可能性が76%あるという。また、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが週末に第1四半期決算を発表する予定であるため、銀行危機の影響に関する不確実性も存在する。
ビットコインが3万ドルを超える上昇は、投資家の認識がリスク市場での代替投資から、インフレ圧力や低い経済成長の期間に利益を得る可能性がある希少なデジタル資産へと移行する最初の動きであるかもしれない。
上昇が持続可能かどうかを決定する2つの重要な要因がある。通常の値動きの最中に強制清算が発生する可能性が高まる高レバレッジの使用と、プロのトレーダーがオプション取引を使って市場の下落の可能性に備えているかどうかだ。
ビットコイン先物はわずかな改善
ビットコインの四半期先物は、クジラやアービトラージ(裁定取引)デスクに人気がある。しかし、これらの固定月の契約は、通常スポット市場よりもわずかなプレミアムで取引されている。
その結果、健全な市場では、先物契約が年率5〜10%のプレミアムで取引される必要がある。これは、コンタンゴと呼ばれる状況であり、仮想通貨市場に限定されたものではない。
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過去数週間、ビットコイントレーダーは慎重であり、3万ドルを超える最近のブレークアウトにもかかわらず、レバレッジロングの需要が急増することはなかった。ただし、ビットコイン先物のプレミアムは、4月8日時点での3%から現在の4.2%にわずかに改善している。これは、買い手が過度なレバレッジを使用せず、通常のスポット市場で効果的な需要があることを示しており、市場にとって健全な数値だ。
BTCオプショントレーダーは中立のまま
また、最近の調整によって投資家がより楽観的になった原因かどうかを理解するために、オプション市場も分析する必要がある。25%デルタスキューは、オプション市場のセンチメントを評価するために参照される指標である。
トレーダーがビットコイン価格の下落を予測する場合、スキュー指数は7%を超える。一方で、強気の局面では、スキューがマイナス7%になる傾向がある。
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現在、オプション市場の25%デルタスキューは、4月9日のコールオプションとプットオプションの需要のバランスから、4月10日の価格下落に備えた保護的プットに対するわずかな4%のディスカウントにシフトしている。これは信頼感がわずかに増していることを示しているが、中程度の強気を示す7%のしきい値を超えるには十分ではない。
つまり、ビットコインのオプションと先物市場は、プロのトレーダーがやや自信を持っていることを示唆しているが、過度に楽観的ではない。伝統的な市場からのデカップリングの動きは、投資家が高いインフレ圧力から仮想通貨市場で利益を得ることができると考えていることを示しており、FRBが金利を引き上げ続けることができなくなったというトレーダーの信念を強調している。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。.