金(ゴールド)は5日午前1時15分ごろ、1オンス=2000ドル(約21万円)を初めて突破した。資産は現在「プライスディスカバリー(価格発見)」の段階に入っている。銀などの貴金属は米ドルの下落を受けて上昇しているようだ。これらの動向は仮想通貨(暗号資産)ビットコインにプラスの影響を与える可能性がある。

Bitcoin vs Gold price movements

(出典:Skew「ビットコインvs金の値動き」)

トレードでは、プライスディスカバリーとは資産価格が過去の最高値を超えた時のことを意味する。現在、金は新たなピークを探している段階で、上昇の勢いは依然として強いことからトレーダーは明確なレジスタンスが確立されるまで価格が上昇を続けると予想している。

ドル安は金とビットコインに良好

ビットコイン懐疑派で金支持者のピーター・シフ氏によると、現在の金上昇はドル安によるものだという。

「金価格は今、史上初めて1オンスあたり2000ドルを超えた。今のところ大多数の投資家は、ドルの記録的な安値の重要性を理解していない。しかし1000ドルの節目がドミノ倒しのように訪れると、問題の深刻さが明らかになるだろう。」

そして、シフ氏は「ドルにとってワイリー・コヨーテ経済が近づいているだろう」と指摘した。「ワイリー・コヨーテ経済」とはベン・バーナンキ元FRB議長が名付けたもので、ワイリーコヨーテとは有名な米俊足キャラクターを追いかけて、目の前の崖に気づかずそのまま落ちてしまうキャラクターだ。急速に成長するトランプ大統領の経済で、いつか崖から落ちてしまうだろうとの比喩として使われる。

ここ数ヶ月、米ドルの価値は他の基軸通貨と比較して大幅に下落している。そのため、金などの安全資産の価格が上昇している。

The monthly price chart of gold

(出典:トレーディングビュー「金の月別価格チャート」)

既報の通り、仮想通貨業界ではドル安がビットコイン価格の上昇傾向を強めるとの声も出ている。仮想通貨取引所OKExのジェイ・ハオCEOやトレーダーのスコット・メルカー氏、リサーチャーのマーク・ウィルコックス氏などはドルの下落がビットコインに恩恵を与えていると述べている。

メルカー氏は米ドルとビットコインの逆相関を指摘した。

「青い線はビットコイン。灰色はドルだ。この逆相関が見えるかい?」

Inverse correlation with the dollar and Bitcoin

(出典:トレーディングビュー「ドルとビットコインの逆相関」)

ドルの下落が投資家を揺さぶる中で、金が爆発的な上昇を続けるとシフ氏は予想する

「誰もドルの下落を心配していないようだ。ドル指数が80を割るまでは暴落はないだろう。現在の下落の勢いを見ると、年末、恐らくは大統領選挙までに突破するだろう」

同様の要因が金とビットコインを取り巻く投資家のセンチメントを押し上げている¥。短期的には新型コロナウイルスの脅威と投資家の不確実性から、アナリストはドルに対して下降トレンドを警戒している。

最近のビットコインと金の相関関係にドルの下落が合わさることで、2021年にかけて、ビットコインにも利益がもたらされるだろう。

ビットコインはデジタルゴールドなのか

マーケットデータ提供のCryptowat.chのリサーチャーはこのほど、金はビットコインが示す多くの特徴と一致していると発言。一方でビットコインは携帯性や追跡性に置いてユニークな特性を持っていると述べた。

「お金という特徴では、金(ゴールド)はファンジビリティと鍛造するためのコストという面でビットコインと同じだ。」

Bitcoin and gold similarities

(出典:Cryptowat.ch「ビットコインとゴールドの類似性」)

ビットコイン価格が2017年にピークを迎えて以来、デジタル資産が価値の保存手段であるという認識は向上している。

金が新たな高値に向けて急上昇するなかで、ビットコインは機関投資家からの関心も増加。金との関連性が高まっている。

これらは全て中期的にビットコイン価格にポジティブな影響を与えるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン