仮想通貨ビットコイン(BTC)、イーサ (ETH)、そしてステーブルコインのテザー(USDT)にデカップリングの兆しが出ている。ブロックチェーン分析企業チェイナリシスが、最新のニュースレターの中で、デカップリングの兆候を示すデータを共有した。

仮想通貨の価格はビットコインと連動して動くのが常だった。しかし、最近のコロナショックやDeFi(分散型金融)ブームなどを経て、少なくとも3つの主要通貨の間で変化が見え始めているようだ。

チェイナリシスによると、新型コロナによるマーケット暴落が起きた3月以降でビットコイン、イーサ とテザーの流動性に変化が起きた。ビットコインとテザーが投資用に保有され流動性が低くなる一方、イーサは積極的に使われるケースが増えて流動性が高くなった。

チェイナリシスは、流動性の高いウォレットを受け取った資産の少なくとも25%を平均で送金するウォレット、流動性の低いウォレットを受け取った資産の25%未満を平均で送金するウォレットと定義している。

(出典:Chainalysis「ビットコイン 保有のウォレット 期間別(赤が非流動的、黄が流動的)」)

ビットコイン供給量全体の2.7%に相当する110万BTCが3月中旬以降で流動性がなくなった。そのうち半数近くが1-6ヵ月以内に作られたウォレットであり、新たな投資家の参入が多かったことを示している。

また、6-12ヵ月以上のウォレットにおける流動的でないビットコインの数も急激に増えた。

チェイナリシスは、この110万BTCがビットコイン相場に不足状態をもたらすことで万ドル付近の価格のサポート材料になっているとみている。

(出典:Chainalysis「テザー 保有のウォレット 期間別(赤が非流動的、黄が流動的)」)

テザーは供給量全体の31%にあたる36億USDTが3月中旬以降で流動的でなくなった。既報の通り、米ドルを入手できない人々を中心にテザーが「デジタルドル」としての役割を果たす傾向が出ている。

(出典:Chainalysis「イーサ 保有のウォレット 期間別(赤が非流動的、黄が流動的)」)

ビットコインとテザーと対照的にイーサ は、3月中旬以降、供給量全体の7.3%にあたる820万イーサが流動的になった。チェイナリシスによると、これはイーサ史上みられなかった現象であり、「イーサリアム使用で構造的な変化が起きた」とみている。

それぞれの仮想通貨が異なるユースケースを評価されていると考えられることから、チェイナリシスは今後の仮想通貨の価格が同じ要因で動かなく可能性があるかもしれないとみている。