ビットコイン(BTC)の現物型上場投資信託(ETF)に短期的に焦点を当てることは、ETF後の環境で出現しつつある重要な仮想通貨のトレンドから注意をそらす攪乱要因になると、コインベースのアナリストであるデビッド・ドゥオン氏とデビッド・ハン氏は指摘している。

2月8日に公開されたコインベースのレポート「月次展望:ETF後の取引テーマ」では、アナリストたちは1月に現物型ビットコインETFに流入した14億6000万ドル(1月11日から31日まで)がBTCの価格パフォーマンスに与えた影響を「短期的に過大評価」していると主張する。

現物型ビットコインETFの立ち上げは仮想通貨経済にとって「画期的な瞬間」となったが、米国の現物型ビットコインETFは、世界の中央集権型取引所(CEX)におけるビットコインのスポット取引量全体の「わずか10〜15%」を占めるに過ぎないとアナリストらは指摘する。レポートによると、現物型ビットコインETFは約65万BTC(ビットコイン供給量の3%)を保有している。

コインマーケットキャップのデータによると、ビットコインのスポット取引量は、過去24時間で295億ドルに達している。公開された取引データによると、2月8日には10の現物型ビットコインETFの取引高は約13億ドルとなっており、過去24時間にCEXのビットコイン取引高の約4.4%を占めた。

CEXの取引高とビットコインETFの取引高 Source: Coinbase

コインベースのアナリストは、米国での現物型ビットコインETFの立ち上げ後に、分散型金融(DeFi)の活動増加など、より重要な仮想通貨のトレンドが出現していると指摘する。DeFiの総価値の58%がイーサリアム(ETF)ブロックチェーンに固定されているため、アナリストたちは、DeFiの成長とビットコインマイナーによる売り圧力、そしてETHの強さが仮想通貨業界の3つの主要なテーマだと見ている。

「4月のビットコイン半減期は、マイニングの経済性に悪影響を及ぼす可能性があり、利益幅の縮小とビットコイン保有による超過利益の減少により、マイナーの売り圧力が増すかもしれない」と予測する。ただし、マイナーの売りの影響は即座には現れない可能性があるとも付け加える。

DeFiのロックされた総価値(TVL)は2021年10月に記録した2000億ドルでピークを迎えた後、DeFiの活動が過去数年間で低下していると報告書は指摘する。DefiLlamaのデータによると、DeFiのTVLは2024年に入ってから増加し、1月1日の550億ドルから執筆時点で650億ドルに18%上昇した。

また、ETHの価格は年初から顕著な上昇を見せており、CoinGeckoのデータによると、1月1日の2350ドルから記事執筆時点で2510ドルに7%増加している。イーサリアムコミュニティのメンバーであり投資家のライアン・ベルクマンズ氏は、イーサリアムがプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークのコンセンサスメカニズムに移行したことで、強気相場中にETHの価格が最大2万7000ドルまで上昇する可能性があると予想している

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン