ビットコイン(BTC)価格は過去15日間、32,000ドルを超えて終値を付けることができず、現在は年初来で37%下落している。これは過剰に見えるかもしれないが、同じく最近顕著な損失を被った米国上場の大手ハイテク企業の中では際立ってはいない。
この同じ15日間で、ショッピファイ(SHOP)の株価は76%下落、スナップ(SNAP)は73%下落、ネットフリックス(NFLX)は70%下落、クラウドフレア(NET)は62%下落というパフォーマンスになっている。
仮想通貨投資家は、ビットコインの年率79%のボラティリティを考えれば、現在の「弱気相場」に対する懸念は少ないはずだ。しかし、ビットコインの「恐怖・強欲指数」は5月17日に100点満点中の8点となり、2020年3月以来の低水準となっている。
トレーダーは、マクロ経済状況の悪化により、投資家がドルや米国債に避難することを懸念している。5月20日の英国の小売売上高データは、対前年比で4.9%の減少を示した。
世界中の金融アナリストは、弱気な市況をインフレ急騰に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の対応の遅れのせいだと考えている。したがって、トレーダーはますますリスク資産以外のシェルターを求めるようになり、それがビットコイン価格にマイナスの影響を及ぼしている。
ビットコインオプションの分析
ビットコインの5月27日満期の月次オプションの建玉は18億1000万ドルだが、BTC価格が過去30日間で26%下落したため、実際の数字はもっと低くなるだろう。

コールとプットレシオは1.31。7億8500万ドルのプット(売り)オプションに対して10億3000万ドルのコール(買い)の建玉となっている。とはいえ、ビットコインは現在3万ドル付近で取引されているため、強気派による建玉の94%は無価値になる可能性が高い。
5月27日にビットコインの価格が31,000ドルを下回ったままであれば、強気派はこれらのコール(買い)オプションのうち6000万ドル分しか利用できない。このような差が生じるのは、ビットコインが満期日にその水準以下で取引された場合、31,000ドルで購入する権利に意味がないからだ。
弱気派が有利なバランスか
以下は、現在の値動きから最も可能性の高い3つのシナリオだ。5月27日にコール(買い)とプット(売り)で利用可能なオプション契約数は、有効期限価格によって異なる。このとき、両者のバランスの不均衡によって、理論上の利益が発生する。
- 2万8000ドルから3万ドルの間:コール(買い)800枚対プット(売り)1万4200枚。弱気派が3億9000万ドルのアドバンテージがある。
- 3万ドルから3万2000ドルの間:コール(買い)2050枚対プット(売り)1万1200枚。弱気派は2億5000万ドルのアドバンテージがある。
- 3万2000ドルから3万3000ドルの間:コール(買い)5650枚対プット(売り)9150枚。弱気派は1億1000万ドルのアドバンテージがある。
この大まかな試算では,強気の取引に使われるコール・オプションと,中立から弱気の取引に使われるプット・オプションだけを考慮したものである。この過度な単純化は、より複雑な投資戦略を無視することになる。例えば、トレーダーはコール・オプションを売り、特定の価格以上のビットコインに対して効果的にマイナスのエクスポージャーを得ることができるが、残念ながら、この効果を簡単に見積もる方法はない。
ビットコインの弱気派は、月次オプションの期限切れから3億9000万ドルの利益を得るためには、5月27日に3万ドル以下の価格を維持する必要がある。一方、強気派はBTCを現在の29,700ドルから8%上昇した32,000ドル以上に押し上げることで、損失を減らすことができる。しかし、弱気なマクロ経済状況から判断すると、5月27日の期限切れは弱気派の方が有利なようだ。