ビットコイン(BTC)は5月21日に過去最高値を更新し、翌22日にはバイナンスで11万1860ドルを記録した。しかし、市場は最高値更新時に典型的に見られる熱狂的な盛り上がりを欠いている。

仮想通貨ウォッチャーのアレックス・クルーガー氏は、「これはビットコイン史上、最も熱狂感のない最高値更新だ」と述べ、各取引所におけるBTCの資金調達率の低さを指摘した。

ビットコインの価格と総資金調達率 Source: Coinalyze

現在の資金調達率は2024年3月および11月の相場高騰時に比べて大幅に低く、今年第1四半期には現在の6倍、第4四半期には3倍に達していた。

この低水準の資金調達率は、先物市場における投機的な動きが控えめであり、レバレッジトレーダーではなくスポット(現物)買いが価格上昇を牽引していることを示している。これにより、過剰レバレッジによる急落リスクが低減している。

このような状況は、現在のビットコイン市場が「熱狂フェーズ」に達していないことも意味している。

ステーブルコインの拡大が示す潜在的資金流入

仮想通貨市場における未投入の流動性の存在も、今後の成長余地を示唆している。

ステーブルコインの時価総額は新規資金の流入を測る先行指標とされているが、2025年に入って14%増加している。テザー(USDT)の時価総額は1月の1390億ドルから1520億ドルに増加し、サークルのUSDコイン(USDC)も供給量が35%増加して580億ドルに達している。

ステーブルコインの総供給量 Source: Token Terminal

ステーブルコインは新たな資金が仮想通貨市場に入る際の「架け橋」として機能しており、その成長は、ビットコインや他の仮想通貨にまだ投入されていない大きな流動性プールの存在を示している。

加えて、世界的な流動性の拡大も追い風となっている。米国、欧州、日本など主要経済圏におけるM2(マネーサプライ)の合計は、各国の金融政策緩和を背景に、2025年第1四半期に5%増加している。

過去の分析によれば、ビットコイン価格と世界的な流動性には60日程度のタイムラグを伴って80%を超える相関が見られており、今後数カ月にわたって買い圧力が高まる可能性がある。

Bitcoin price and Global M2 supply. Source: X.com
 

積極的な利益確定は見られず

オンチェーンデータ分析企業グラスノードによれば、ビットコインが新たな最高値を記録したにもかかわらず、BTC保有者による利益確定の動きは控えめとなっている。

「昨日BTCが過去最高値を更新した際の利益確定額は約10億ドルだったが、昨年12月に10万ドルを初めて突破した際の21億ドルに比べて半分以下だった」

これは、長期保有者が急いで利確に動いておらず、価格のさらなる上昇に対する市場の信頼感を反映している。

Bitcoin spent volume by age data. Source: X.com

現在のラリーは、取引の過熱や過度な投機を伴っておらず、新たな資金流入の余地がある相場と言える。資金調達率の低水準と利益確定の抑制が重なり、現在の市場は過熱感やバブル的熱狂とはほど遠い様相を呈している。  

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】