ビットコインの作成者であるサトシ・ナカモトがビットコイン（BTC）のホワイトペーパーを暗号学者のメーリングリストに共有してから今日で15年が経過した。
この日は2008年10月31日で、毎年ハロウィンとして祝われる日でもある。「新しい電子キャッシュシステムを開発しており、これは完全にP2Pで、信頼できる第三者は存在しない」とナカモトは有名な冒頭文で述べ、その後「ビットコイン：P2P電子キャッシュシステム」と題された文書へのリンクを掲載した。
ホワイトペーパーでは、P2P取引を可能にする分散型システムが提案され、これによりデジタル通貨での「二重支払い」問題が解決される可能性が示された。これを実現するために、ノードのネットワークを通じて取引を検証し記録するプルーフ・オブ・ワーク（PoW）の合意形成メカニズムを通じて、2009年1月3日に立ち上げられた。
ビットコインがどのようにして生まれたか
サトシ・ナカモトによるブレイクスルーは、暗号学と電子マネー領域の他の目覚ましい発展を背景にしている。ビットコインのホワイトペーパーで最初に引用されたのは、ウェイ・ダイ氏のb-moneyで、これはローンチされなかったが、ナカモトのビットコイン計画に重要な役割を果たした電子P2Pキャッシュシステムだ。
ビットコインと同様に、b-moneyはシステムの参加者がお金の所有権を追跡する口座残高のデータベースを維持することを提案した。取引はすべての参加者へのブロードキャストメッセージによって開始・完了し、これにより特定の取引に関与する者の口座残高が更新される。多くの点で、これはビットコインのプロトコルのノードの前身と見なすことができる。
ビットコインではプルーフ・オブ・ワークを必要とする。ナカモトはこれを、アダム・バック氏が発明したプルーフ・オブ・ワークを組み込んだ1997年のHashcashから引用した。Hashcashは、電子メールスパムとサービス拒否攻撃を制限するためにプルーフ・オブ・ワークを取り入れていた。
タイムスタンプは、ナカモトが成功裏に実装したビットコインのもう一つの核心的な特徴だ。ビットコインのタイムスタンプサーバーは、取引のブロックのハッシュを取得し、そのブロックがビットコインのブロックチェーンに追加された時刻にタイムスタンプを付ける。ハッシュは暗号学的に一つのブロックを次のブロックにリンクし、ビットコインのデータの完全性を保証する。タイムスタンプはまた、ビットコインの二重支払いを防ぎ、ネットワークを改ざん防止および不変にする。
ナカモトは、ヘンリ・マシアス氏、スコット・ストーネッタ氏、スチュアート・ハーバー氏、デイブ・バイヤー氏の仕事を引用し、ビットコインのプロトコルにタイムスタンプを実装した。
さらにマークルツリーは、デジタル署名を通じて取引データを検証するためにビットコインに実装された。ナカモトは、ラルフ・マークル氏が公開鍵暗号システムを開発した仕事を引用した。
ビットコイン支持者でありサイファーパンクのジェームソン・ロップ氏は以前、ビットコインの道を開いたプロジェクトを称賛するべきだとコインテレグラフに語った。しかし、ロップ氏はナカモトの天才性はこれらすべての要素を完全に機能するシステムに組み合わせたことにあるとも指摘する。
ビットコインが達成したこと
ビットコインは、暗号を用いて初めて国家からお金を分離することに成功した発明の1つだった。ナカモトの発明により、ユーザーは銀行や金融機関を迂回して、世界中の他の人々と取引を行うことが可能になった。
ビットコインでの最初の実世界での取引は、2010年5月にラスロ・ハニエツ氏から来ており、彼は1万ビットコインで2つのピザを買った。
メインストリームメディアは初期の頃、犯罪者が資金を洗浄するためにビットコインを使用していることを強調していたが、その物語は変わり続けている。ビットコインは全世界でますます採用されており、2021年9月にはエルサルバドルで法定通貨として認められた。また金融機関は最近、米国で現物型ビットコイン上場投資信託（ETF）の申請を行っている。
ビットコインをスケールさせ、ネットワークにより多くのユースケースをもたらすために、いくつかの開発が実装されてきた。
2018年には、ビットコインの取引速度を向上させるために、ライトニングネットワークが立ち上げられた。2021年11月のタップルートソフトフォークにより、非代替性トークン（NFT）が2022年1月にビットコイン上で立ち上げられた。
ビットコインの価格も激しい変動を経験してきた。現在、BTCの価格は34350ドルで、2021年11月10日の最高値69000ドルから50％下落している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン