観光客にとって長らく理想的なビーチの休暇地とされてきたケイマン諸島だが、ビットコイン(BTC)を担保としたローンを利用して不動産に投資することで、BTC保有者が新たな住民として受け入れられる可能性が高まっている。
ケイマン諸島金融庁に仮想通貨サービス提供者(VASP)として登録されているビットコイン銀行Lednは、ビットコイン保有者がケイマン諸島の不動産に投資するためのローンの担保としてBTCを使用するための方法を提供している。
ケイマン諸島での240万ドル以上の不動産投資で永住権を取得できる購入者を対象としている。
Lednのアダム・リーズCEOは、ケイマン諸島の不動産エージェンシーであるParallelとの新しい提携について明かした。Parallelはケイマン諸島での仮想通貨をベースとした不動産の売買もいくつか手掛けてきた。
「Lednはケイマン諸島の不動産購入者に対し、暗号資産担保のローンを提供し、Parallelは購入の資金調達としてそれを受け入れる。Parallelが借り入れた資金を受け入れるのはLednからのものだけで、この意味で独占的な提携だ。」
リーズ氏によれば、Parallelは買い手や売り手が仮想通貨の支払いよりも法定通貨への換金を好む場合には、その変換も取り扱っている。一方で、Lednの取引のは法定通貨ではなく、BTCや米ドル担保のステーブルコインで支払われる。
「Parallelはケイマン諸島の仮想通貨中心の不動産ブローカーであり、ユーザーは今、不動産の購入を完全にフィアットフリーで資金調達することができる。」
ケイマン諸島でParallelを通じて仮想通貨で不動産を支払うことも可能である。しかし、リーズ氏は、投資家が部分的に売却することなくBTCの保有を担保として活用できる点を強調した。
「BTCの価格が上昇すれば、ローン・トゥ・バリュー比率は下がる。つまり、家が価値を増していく一方で、担保として使われている資産も同時に価値を増していく。」
パラレルは以前、仮想通貨を利用した送金で不動産を売却したことがあることから、両社は重要な不動産取引の資金調達にこのサービスを利用する需要があるとリーズは付け加えた。
不動産会社は2022年12月に1000万ドルの不動産を売却したが、その代金はすべて仮想通貨で支払われた。また、同社はケイマン諸島金融庁にVASPとして登録されており、仮想通貨取引を促進することができる。
LednもParallelも、現地の通貨当局への登録の一環として、包括的なコンプライアンス要件を遵守しなければならない。
仮想通貨を含む投資による居住権取得という概念は、他国でも事例が出てきている。バヌアツは、投資による市民権取得のための支払い手段としてビットコインを受け入れた最初の国だと主張している。