『ビットコイン&ブラックアメリカ』の著者イザヤ・ジャクソン氏は、米ミネアポリスで発生したジョージ・フロイド氏の暴行死事件と、警察に対する抗議活動を巡り、コインテレグラフの取材に応えた。ジャクソン氏は、人々がビットコインを使って抗議活動をすることで、「本当の敵」、すなわちアフリカ系アメリカ人が金融システムから締め出されていることに焦点を当てることになると語った。
ジャクソン氏は、ソーシャルメディア上で仮想通貨(暗号資産)について書かれた看板を掲げて抗議活動する動きを歓迎したいと述べた。
ジャクソン氏は、米国の黒人層が経済システムから締め出されていることは悲劇であると指摘。「経済システムが壊れてしまえば、どんなに努力をしても、警察の監視が厳しい地域に追いやられてしまう。そしてこういった衝突が起こり、警察は黒人男性を殺害し始める。それはすべてドミノ効果だ」と、ジャクソン氏は話した。
「したがって、彼らが看板を掲げることは『これが収束したら、本当の敵がなんであるかを思い出して欲しい』と訴えることになると思う」
ジャクソン氏は、4000万人もの人々が失業するといった経済的要因についても語り、「私たちが将来、コミュニティのために将来取ることができる戦略は何か?彼らがビットコインがその戦略かもしれないと気付いたと思うと、それを見るのはうれしいことだ」と話した。
仮想通貨という戦略
ジョージ・フロイド氏の事件は米国全体に混乱を招いた。抗議者たちは警察改革と司法システムへの平等なアクセスを要求している。その抗議運動の中で、ビットコインを推進しようとする動きが現れ、ジャクソン氏の著書のタイトルがノースカロライナやニュージャージー、ロンドンなどに登場している。
Bitcoin and Black America becoming apart of the protest is so dope 🔥🔥 pic.twitter.com/mCfQ58cTPC
— Bitcoin and Black America (@bitcoinzay) May 31, 2020
ジャクソン氏は世界中のストリートでの抗議活動を支持しているが、ビットコイン(BTC)を購入することも別の解決策になると考えている。同氏は、2019年に出版した本のツアーで、ビットコインは「平和的な抗議だ」と語っている。それはバイナンスのジャオ・チャンポンCEOが6月1日のツイートで表明するよりも前から打ち出していた。
「私たちが通常できる最も平和的な抗議は、定期的にビットコインを購入することだと私は言っている。なせなら、あなたのマネーをこのシステムの外に出し、未来のハードマネーシステムになるより良いシステムへと移動させることになるからだ」
ビットコイン採用へのハードル
ジャクソン氏の主張の一方で、アフリカ系アメリカ人のコミュニティの中では仮想通貨はまだ主流とはなっていない。ジャクソン氏は、黒人コミュニティの中でビットコインを使っているのは「おそらく10%以下」だと語り、「それを定期的に使っているのは実際には1%未満だろう」とみている。
ジャクソン氏はまた、一部のメディアでの黒人コミュニティに関する報道と、ビットコインについての報道が類似しているとも指摘する。
「正直なところ、メディアでのビットコインの認識は、黒人がどのように認識されているのかと恐ろしく似ている」。「嘘が多く」「誤った情報にもとづく予測」が含まれていると、ジャクソン氏は主張する。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン