著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

先週(7日〜13日)のビットコイン(BTC)対円相場は35,578円(0.81%)高の4,454,161円と小幅に2週続伸。ただ、ドル高円安の影響で、BTC対ドルの週足は小幅に反落した。

先週のBTC対円は、欧米のロシア産石油輸入禁止検討を巡り、世界の株式市場が波乱含みで始まる中、リスクオフの波及で450万円周辺から下値を模索する展開で始まったが、中国の王外相がロシアとウクライナの関係を「必要に応じて仲裁する」と、国際社会と足並みを揃え外交的手段での解決に傾いたことや、トルコでの露・烏外相会談が決定したことで持ち直し、450万円台回復をうかがった。

 7日の米市場では、米国のロシア産石油輸入停止が決まり原油価格が高騰。これを受けて米株が大幅続落となる中、BTCも下げ足を速め、430万円にタッチしたが、コモディティ価格高騰によるインフレと消費減少による景気後退が同時に起こるスタグフレーション懸念が台頭し、期待インフレの急上昇とそれに伴う実質金利の低下を受けてか、BTCは同水準から反発。翌8日にはロシアがウクライナ首都キーフ(キエフ)を含む5つの都市で停戦するとの報道もあり、再び450万円をトライした。

 週央に差し掛かると、アラブ首長国連邦(UAE)が原油増産を表明し原油価格が急落。同時に米株も切り返すとBTCも440万円台で底堅く推移し、9日東京時間に米税務省から暗号資産(仮想通貨)の規制方針を含む大統領令が漏洩すると、比較的前向きな内容が好感され、相場は上値を追う展開に転じ490万円にタッチ。一方、この日は欧州連合(EU)がロシアの仮想通貨による制裁回避策として仮想通貨を証券と分類、さらに10日にはバイデン米大統領が仮想通貨大統領令を発令したことによる事実確定売りが入り、相場は450万円まで急反落した。

その後、2月の米消費者物価指数が7.9%と前月から上昇すると、相場は一時乱高下を演じた末底堅く推移。11日の東京市場で日経平均株価が米株の下落を引き継ぐ格好で大幅に反落すると、BTCも連れ安となり450万円を割り込んだが、株価の下げ止まりを眺め440万円台中盤で反発。そこにプーチン露大統領がウクライナとの「停戦協議で進展」が見え始めたと発言し、相場は470万円まで上値を伸ばしたが、米株の続落と米証券取引委員会(SEC)が2件のBTC上場投資信託(ETF)上場を棄却したことが相場の重石となり、上げ幅を維持できなかった。

週末のBTC相場は460万円を背に概ね横ばいに終始したが、今朝方にシカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物が今週の取引を開始すると、先物主導で保ち合い下放れとなっており、440万円割れを試す展開となっている。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
 

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