仮想通貨取引所バイナンスUSにとって、昨年6月の米証券取引委員会(SEC)による訴訟で「致命的な打撃」を受け、収入が「急減」したため200人以上のスタッフの解雇に追い込まれた。同社の幹部が裁判所の証言書の中で明らかにした。
「銀行にとって、私たちは放射能のようなものだった」。バイナンスUSの最高執行責任者クリストファー・ブロジェット氏は、SECとの訴訟で3月5日に裁判所に提出された証言書で述べている。「彼らがバイナンスUSと取引していることが知られれば、SECから厳しい召喚状を受け取ると合理的に予想されるため、彼らを責めることはできない」とブロジェット氏は語った。
昨年6月、SECはバイナンス、バイナンスUS、および創業者のチャンポン・ジャオ氏に対し、未登録証券の販売などで訴訟を起こした。ブロジェット氏によると、取引所の顧客は銀行パートナーが支援を撤回した後、米ドルでの取引ができなくなり、新たな銀行を見つけることができず、「事実上、事業を窒息させてた」という。
SECの行動を受けて、バイナンスUSは「プラットフォームから約10億ドルの資産が流出」するのを目の当たりにし、その後収入が「75%以上急減した」。これにより「200人以上の人員を解雇せざるを得なくなった」とブロジェット氏は振り返る。
機関投資家の信頼も損なわれた。ブロジェット氏によると、バイナンスUSのマーケットメイカーは訴訟前には20社以上いたが、訴訟後には5社にも満たない状況となった。「最高レベルで、致命傷に近い打撃を受けた」と彼は言う。
SECはバイナンス、バイナンスUS、ジャオ氏に対し、未登録証券の販売、取引量を水増しするためのウォッシュトレードなどがあったと主張した。
バイナンスとジャオ氏は、マネーロンダリングとテロ資金供与法に違反したことを認め、11月に司法省、財務省、商品先物取引委員会と43億ドルで和解した。しかし、この和解にはSECは含まれておらず、SECとの訴訟は続いている状況だ。
ジャオ氏はマネーロンダリングの罪を認め、4月3日の量刑聴聞会を控えており、最大で18ヶ月の懲役に直面している。