仮想通貨取引所バイナンスは3月13日のブログ投稿で、ナイジェリアでの運営を巡る最近の騒動を受け、同国当局との広範な協力を明らかにした。
バイナンスによると、数ヶ月前まで当局との関係は今とは大きく異なっていた。例えば2023年8月、同取引所はアブジャとラゴスで経済金融犯罪委員会(EFCC)の職員を対象に2日間のフルセッションの研修を開催し、それぞれ30人以上の捜査官が参加した。
この研修では、公開ツールと商業ツールを使用してブロックチェーン上の資金の流れを追跡する方法を捜査官に指導した。「ナイジェリアの容疑者を含む複数のケーススタディを紹介した。両セッションとも、ナイジェリアの捜査官から圧倒的に好意的なフィードバックを受け、この形式の協力を継続することに強い関心を示した」とバイナンスは述べた。
また、バイナンスは2020年6月から2024年2月の間にナイジェリアの法執行機関からの626件の情報要請に応じ、ナイジェリア警察、EFCCなどの捜査を支援しているという。

バイナンスとナイジェリアを巡ってはここ1ヶ月で大きな混乱が起こっている。先月には、ナイジェリア政府のバヨ・オナヌガ大統領補佐官が、バイナンスがナイジェリア通貨であるナイラ(NGN)を操作し、ナイラの下落に関与したと主張した。
ナイジェリア中央銀行(CBN)も取引所を通じた疑わしい資金流の問題を指摘しており、2023年にはバイナンス・ナイジェリアを通じて260億ドルが身元が特定できない個人や組織から流れたと推計している。この問題はバイナンスとナイジェリア政府との関係に根本的な変化をもたらし、2月26日にはバイナンスの現地幹部2人が拘束された。この取り締まりの中でバイナンスは、ピアツーピアサービスから全てのナイジェリアナイラ取引ペアを削除した。
ナイジェリアは世界で最も急成長している仮想通貨経済圏の1つと考えられており、2023年のグローバルな仮想通貨採用率で第2位にランクインしている。しかし、昨年ナイラは経済の不安定さと投資家の信頼の低下により大きな変動を経験した。
ロイターによると、ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領が取引制限を解除し、中央銀行のゴドウィン・エメフィエレ総裁を停職処分にしたことを受け、2023年6月ナイラは公式市場で36%下落したという。