仮想通貨取引所バイナンスの最高経営責任者(CEO)リチャード・テン氏は、トランプ家が関与する仮想通貨事業「ワールド・リバティ・フィナンシャル」が発行したステーブルコインを、多額の取引で採用する決定に同社が関与したとの疑惑を否定した。
米CNBCが4日に報じたところによると、テン氏は、アブダビの投資企業MGXがバイナンスに対して実施した20億ドルの出資において、ワールド・リバティ・フィナンシャルの米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」が使用された件について、「当社はその決定に関与していない」と述べた。
この発言は、ドナルド・トランプ米大統領が前バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ(通称CZ)氏に恩赦を与えたことで、汚職や利益供与型の政治との批判が高まる中で行われた。
テン氏は「MGXによる戦略的投資の一環としての取引でUSD1が使われたが、それはMGXが決定したことであり、我々はその判断に関与していない」と語ったという。
MGXによる20億ドルの初回投資は3月に発表されたが、その後、トランプ大統領の息子でありワールド・リバティ・フィナンシャル共同創業者のエリック・トランプ氏が、この資金調達がUSD1で決済されると述べ、トランプ家関連企業が取引から利益を得る構図に注目が集まった。
一方、トランプ大統領は10月23日にCZ氏への恩赦を発表した後、CBSの番組「60ミニッツ」のインタビューで「CZ氏を知らない」と述べ、バイデン政権下の司法省が不当に同氏を起訴したと主張した。CZ氏は、バイナンスのマネーロンダリング対策をめぐる米当局との43億ドルの和解の一環として有罪を認めている。
バイナンスとトランプ家の関係はさらに深いのか
テン氏の説明にもかかわらず、ブルームバーグは7月の報道で、USD1のコード開発の一部にバイナンスが関与していた可能性を示唆し、関係者3人の証言を引用して報じている。これに対しCZ氏は、同報道に対して名誉毀損訴訟を検討する意向を示していた。
米議会でも、バイナンスとトランプ家の関係をめぐる追及が続いている。コネティカット州のクリス・マーフィー上院議員は10月、「バイナンスUS(バイナンスの米法人)が“トランプ・クリプト”を宣伝している」と批判し、トランプ氏が「バイナンスのオーナーを恩赦した」直後の発言として波紋を呼んだ。
また、マサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン上院議員もCZ氏と大統領の関係を問題視し、こちらも名誉毀損訴訟に発展する可能性があるとみられている。
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