米国証券取引委員会(SEC)がバイナンスを証券法に違反しているとして訴えた訴訟は、仮想通貨市場とバイナンスの財務状況に直接影響を与えている。

仮想通貨分析会社ナンセンのデータによると、バイナンスはイーサリアム・ブロックチェーンで7億8000万ドル(1086億円)の純流出を記録した(16億ドルが流出する中で、8億7100万ドルの資金が流入した)。記事執筆時点で、SECの告発から24時間以内に、イーサリアムベースのトークンはマイナス・ネットフローを記録し、過去1時間だけで1480万ドルの資産が流入し、5050万ドルの資産が取引所から流出した。

イーサリアム上のバイナンスのネットフロー. Source: Nansen

バイナンスの準備資産は、SECの告発が報じられた直後の1時間で約14億ドルの純流出を記録したが、これは同取引所の準備資産529億ドルの2.6%に相当する

過去24時間で全プロトコルでのバイナンスからの資金の流出額は9億9000万ドルに達した。一方で、バイナンスへの信頼が低下し、OKXがトレーダーにとって次の選択肢となっており、同取引所は1億9000万ドル以上の大幅な資金流入を記録した。

バイナンスの資金流出が加速. Source: DefiLlama

商品先物取引委員会によるバイナンスへの訴訟と比較して、最近の純流出は大きいものの、その流出額はまだ取引所の準備金を下回っている。バイナンスは、80億ドル以上の健全なステーブルコイン残高を保持している。

イーサリアムの流出だけでなく、バイナンスではビットコインの流出も大きかった。FTX破綻以降では最大の額となり、過去24時間で2万BTC以上が取引所から引き出された。

Bitcoin netflow on Binance. Source: Glassnode

CryptoQuantが共有した別のオンチェーン分析によれば、SECの訴訟発表後に資金引き出しのためのユーザートランザクションの総額が急増した。しかし、それでもセルフカストディが仮想通貨市場で人気を博していた2022年12月のレベルを超えていなかった。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン