4月にブロックチェーンのテストを行った後、海外の大手仮想通貨(暗号資産)取引所バイナンス(Binance)は、そのスマートチェーンを立ち上げた。これは、バイナンスチェーンと並行して実行されるスマートコントラクト対応のブロックチェーンだ。
バイナンスのスマートチェーンには、イーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性のある環境が用意されており、Solidity開発者はほとんど摩擦なしで新しいチェーンに移行できる。
新しいブロックチェーンは、バイナンスチェーンと相互運用可能だ。バイナンスチェーンは今後も存続する形となり、バイナンスの分散型取引所であるバイナンスDEXは、バイナンスチェーンに残ることになる。
バイナンスは、ブロックチェーンは「1セント程度」という安価なトランザクション手数料と3秒ごとにブロックが生成できるようになるとしている。ブロックチェーンは、「Proof of Staked Authority」という委任型プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)を採用している。より多くのBNBを保有しているほど、各参加者の投票力を持つことになる。
イーサリアム上にあるいくつかの分散型金融(DeFi)プロジェクト(Aaveや1inch、dForceなど)は、チェーン上に新しいプロトコルを作成する作業をしていると、バイナンスは明らかにしている。
バイナンスはDeFiに対して積極的に関与しようとしており、EquilibriumやKavaのような非イーサリアムプロトコルでBNBを担保資産として採用することを強く求めてきた。
簡単な相互運用性や強い需要がないため、BNBは主にイーサリアムメインのDeFiシーンからは除外されてきていた。スマートチェーンの立ち上げは、逆のアプローチを目的としているようにみえる。BNBをDeFiに持ち込もうとする代わりに、DeFiをBNBに持ち込もうとしている。
より速いブロックチェーンと直接的なサポートを約束しているにもかかわらず、エコシステムがイーサリアムが持つネットワーク効果と競争できるかどうかは、まだわからない。
一方で、バイナンスはメインの取引所において、DeFiに積極的にコミットすることを始めている。DAIやラップドBTC、新しいリリースされたプロジェクトであるyEarnなどを取引所に上場させている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン