バイナンスのジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)によれば、仮想通貨企業が銀行口座へのアクセスを失われる懸念が増大しているにもかかわらず、同社が銀行を買収する可能性は低いという。

今年、米国で仮想通貨企業に友好的な銀行の破綻が相次いでいる。仮想通貨業界の主要な銀行パートナーだったシルバーゲート銀行やシグネチャー銀行、シリコンバレー銀行が今年相次ぎ破綻した。一方、バイナンスはオーストラリアで豪ドル決済パートナーが突如撤退し、豪ドルサービスの停止を余儀なくされている。

5月29日のBanklessポッドキャストのエピソードに登場したCZは、「銀行を買収してそこを仮想通貨に友好的にしてくれないか?」という質問に答えた。

CZは「そのことについては、私たちも検討してみた」と答え、そのアイデアの限界について概説した。

「現実はアイデアよりもずっと複雑だ。銀行を1つ買うだけでは、その国でのみ機能し、その国の銀行規制当局と対処しなければならない。それは銀行を買収することで何でもやりたいことができるという意味ではない」

銀行規制当局が『仮想通貨とは関わってはいけない』と言ってきた場合、それをしてしまえばライセンスを取り上げられる可能性がある。したがって、銀行を買うことは規制当局から『仮想通貨には手をつけてはならない』と言われるのを防ぐことはない」と彼は付け加えた。

さらにCZは問題を掘り下げていき、たとえバイナンスがある銀行を買収したとしても、「それでも世界中にコルレス銀行が必要だ。そして、ほとんどのコルレス銀行は米国にある」と述べた。

「その後、コルレス銀行はあなたの銀行に『もし仮想通貨に手を出すなら、我々はあなたの国際取引を手助けしない』と言うだろう」とCZは言う。

またもう1つの問題はコストだとCZは主張し、バイナンスが銀行や銀行ネットワークを所有した場合、そこからほとんど利益を得られないだろうと指摘した。

銀行は安くはない。銀行は非常に高価で、そのビジネス収益は非常に少ない。必要な資本の量は非常に高く、銀行を買うための規制承認は、新しい銀行を設立するのと同じかそれ以上で、非常に煩わしい」と彼は語った。

「多くの銀行はあまり健全なビジネスモデルを持っていない。それらは非常にリスキーなビジネスである。彼らは顧客のお金を受け取り、それを貸し付け、お金を得ようと試みるが、返してもらえない場合、破産を宣言する。多くの国では政府が彼らを救うが、私はそのようなビジネスを運営することを好まない」

しかし、最終的には、CZはバイナンスが銀行に対して少額の投資を行うかもしれないと述べ、それが「彼らがより仮想通貨に友好的になるように影響を与えることを期待している」と述べた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン