医薬品サプライチェーン関連企業25社は、米食品医薬品局(FDA)と連携して実施したパイロットプログラムを完了し、処方箋の追跡にブロックチェーン技術採用が好ましいとする報告書をまとめた。MediLedgerが発表した。

FDAは昨年、医薬品サプライチェーン安全保障法(DSCSA)で2023年までに医薬品の流通経路を明確化するよう求められていることをうけ、支援する探究するプロジェクトの提案を受け付けていた。

FDAは昨年6月に、MediLedgerの医薬品のサプライチェーン管理にブロックチェーンを活用したプロジェクトを承認。米国内の医薬品サプライチェーン運営に関わる大手25社がブロックチェーン基盤のネットワークを査定した。

同ネットワークには、製薬大手のファイザー、医薬品流通サービスのアメリソース・バーゲン、全米2位の薬局チェーンを手掛けるウォルグリーン、小売大手のウォルマート、配送サービス大手フェデックスなどが参加している。

ブロックチェーンなしではリスク

報告書では、データ共有においてブロックチェーン技術を使用しなければ、米国は世界と戦っていくことができないとしている。特に公衆衛生上の危機などの際、関係者らが疑わしい製品を突き止めて検査するのに時間がかかるといったリスクは、ブロックチェーンで軽減できるとしている。

また、ゼロ知識証明技術を使うことでデータ保護の条件を維持できるとしている。

同パイロットでは、ブロックチェーンは医薬品サプライチェーン向け相互運用システムの土台となる技術になる能力があると証明されたが、複雑なソリューションであるので、安定化には一定の時間を要するとしている。

またレポートの中では、相互運用可能なブロックチェーンソリューションの成功には「すべての業界関係者による積極的な協力と導入」が条件になると付け加えている。

MediLedgerのプロジェクトは3つのコアテクノロジーで構成されている。クライアントと取引パートナー間のプライベートメッセージングシステム、トランザクション検証とスマートコントラクト実効のためのブロックチェーン、そしてプライバシーを確保するためのゼロ知識証明だ。

ファイザーのd江地たるマーケット担当のバイスプレジデントであるマック・マッケンジー氏は、MediLegerについて「DSCSA遵守を実現する相互運用可能なシステムへの業界の幅広いコミットメントを示すことができた」とし、「患者により高い付加価値をもたらす革新的なデジタルサービスを共同で提供していく」と語っている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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