日本銀行が20日付で決済機構局内にデジタル通貨グループを新設したと発表した。ロイター通信など複数のメディアが報じた。

今回のデジタル通貨グループは、日銀が今年2月に設立したデジタル通貨の研究チームを改組。グループは10人規模と、これまでと変わらないが、グループ長は奥野聡雄決済機構局審議役が務めるなど、専任者を配置した。決済システム全体のデジタル化や中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討を推進する。

CBDCを巡っては、17日に閣議決定された経済財政の基本指針である「骨太の方針」で「各国と連携しつつ検討を行う」と盛り込まれたばかり。日銀は現時点では発行する予定はないとのスタンスだが、中国や海外での検討が進む中で、組織を編成し、研究にも本腰を入れる。

これまで行ってきた欧州中央銀行(ECB)や英中銀などと進めるデジタル通貨の研究も本チームが担当する。

決済機構局は決済サービスの高度化や安全性確保を目的として業務を行う組織。

海外で進むCBDCの検討

今月は世界各国でCBDCの導入に向けたニュースが相次いでいる。今年10月に開催される20カ国地域(G20)でもデジタル通貨を容認する方向で調整が進んでいることが報じられるなど、世界中の中央銀行で動きが加速している。

14日に英国の中央銀行であるイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁が学生向けのウェビナーで構想を明かしたほか、シンガポールの中央銀行である金融管理局(MAS)が商業用の実装段階に入ることを発表している。

16日にはタイの中央銀行であるタイ銀行が、いくつかの大企業との金融取引にCBDCを使っていると報じられた。タイの英字紙The Nationによると、タイ銀行は、デジタルバーツ開発の第3段階に入り、より多くの事業を計画しているという。2020年9月にも香港の中央銀行である香港金融管理局との取引にデジタル通貨を使う予定だとしている。

CBDC開発では特に、中国がトップを走っている。

2022年開催の北京オリンピックでも試験導入すると報じられており、国内の大手企業との連携も進む。最近では中国の配車サービス大手の「ディディチューシン(滴滴出行)」が中国人民銀行のデジタル通貨研究所と戦略的パートナーシップを締結。さらに動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」を手がける「北京字節跳動科技(バイトダンス:ByteDance)」も協力に向けて交渉段階に入っているという。