カナダの中央銀行であるカナダ銀行の幹部は、14日に韓国で開催されたカンファレンスの中で、ブロックチェーン技術を銀行業務で使うことの有効性やセキュリティ面での安全性について疑問を呈した。地元メディアが報じた。

 ソウルで開かれたG20国際金融安定性会議でのプレゼンテーションで、カナダ銀行の資金運用・銀行業務部門のジェームズ・チャップマン上席研究部長は、上記の発言に加えて、仮想通貨資産は「金融市場にとって新たな可能性であり、脅威でもある」と述べた。

 チャップマン氏のこの発言は、カナダ銀行のジャスパー計画の進捗状況について聴衆に説明する中で行われた。ジャスパー計画は概念実証中の決済システムで、「分散型台帳技術(DLT)」を応用している。ブロックチェーン技術もDLTの一種だ。

 地元メディアによると、チャップマン氏は「スマートコントラクトに基づくデジタル通貨はレジリエンスが高く、情報の非対称性も解消する」と述べた。

 ジャスパー計画は2月以降、試験運用の第3ステージに入っているが、カナダ銀行は、今月に入り銀行業界に蔓延し始めたある種の雰囲気と軌を一にするように、自社のテクノロジーが持つ可能性について、やや消極的になっているようだった。

 「決済のファイナリティー、つまり確定性について問題を抱えている」とチャップマン氏は述べ、次のように続けた。

「現段階では、従来型の中央銀行システムと比較してコストの抑制効果があるとは言いがたい。ハッキングされたり、他の運用上のリスクが顕在化したりする恐れがある」

 リップルの首脳陣も最近、こうした一連の話と似たような発言をした。リップルは、銀行業務用にブロックチェーン技術に基づく代替決済システムを開発、納入している。今週、リップルでチーム・クリプトグラファーを務めるデイビッド・シュワルツは、ロイターの取材に対して同社の決済システムは「分散型台帳ではない」と述べた

 リップルのカスタマーサクセス部門のバイス・プレジデントを務めるマーカス・トリーチャー氏は、さらに踏み込み、銀行から返ってきたフィードバックを要約すると、「ブロックチェーン1本に全てを任せるわけにはいかない」ということだと述べた。