コンサルティング大手のベイン&カンパニーは、ブロックチェーン技術は銀行取引に革命をもたらす可能性があるとする調査報告をまとめた

 ベインは報告書の中で、「銀行取引業務の収益は他の業務の収益よりも変動が小さい傾向があり、銀行は商品のクロスセルができる。これは顧客ロイヤルティにとって不可欠な要素だ」と述べ、銀行業務のなかでも特にこの分野は、今後、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を活用することで大幅に変わるだろう」と結論づけた。

「この技術を活用することで、約定、手形交換、決済を同時に行うことができ、流動性リスクと信用リスクを最小限に抑えられる。取引後のカストディ(保管)など、ほかの証券サービスもまた新技術の脅威にさらされている」

 ベインの調査によると、貿易金融業務において、エコシステムの参加者がブロックチェーン技術を適切に導入した場合、コストを50〜80%も削減できるという。コスト削減は処理速度の大幅な向上によるものだと考えられ、決済、請求、支払いの処理速度が3倍ないしは4倍に向上すると試算している。

 ベインに所属する金融専門家のクリスチャン・グラフ博士は、調査報告書とともに公表されたプレスリリースの中で、銀行業界は概して、電気通信業界で過去10年間に見られたような大きな変化に直面していると指摘した。同氏は「今後、トランザクションだけで決定される小規模の料金体系は、包括的ソリューションサービス向けの定額料金に置きかわる」と予測し、早期に対策を講じ、今ブロックチェーン技術の導入を始めている銀行が「競争優位性を獲得するだろう」と述べた。

 一方でカナダ銀行の専門家は14日、ソウルで開かれたカンファレンスで、銀行業務にブロックチェーンを活用することの有用性について疑問を呈している