3月の仮想通貨大暴落中の「お告げ」から1ヶ月。仮想通貨取引所ビットメックスのアーサー・ヘイズCEOが、トレーダー待望の「ビットメックス・仮想通貨トレーダーダイジェスト」を配信した。新型コロナウイルスによるドル高が世界経済を壊すことになると懸念する一方、新たな経済体制下でビットコインは躍進し、年末までに2万ドルをつけるという従来の予想を据え置いた。

ドル高が世界経済を壊す

ヘイズ氏は、中国が欧米への輸出によってドルを稼げなくなるだろうと指摘。中国が再びビジネスを「再開」し生産を開始しても、「みんなポルノハブを見てグラブハブで注文しているので」西洋からの需要はないだろうとユーモアを交えて解説した。

「この残念な話の肝は、中国がドルを稼がなくなるということだ」

ヘイズ氏は、米連邦準備理事会(FRB)が理論的には十分にドル安になるまでマネーを印刷できるが、米国の銀行は米ドルを貯める傾向にあり貸すことを拒否するだろうと指摘。世界的にドル決済が浸透している現在の経済体制において、ドルが必要な最も重要な国である中国がドルを手に入れられなくなることを問題視した。

「中国の通貨は交換可能ではない。しかも、欧米人の目から見れば、中国は今回のウイルスの責任がある。それが真実かどうかは問題ではない。あなたは米国の政治家の誰かが立ち上がり、中国経済が新型コロナウイルスのパンデミックを生き残れるようにFRBにマネーの印刷を頼めると思いますか?」

その上でヘイズ氏は、今後10年間でいつかは分からないが、「強い米ドルが世界経済の基盤を破壊しリセットを強制するだろう」と予想した。

ビットコインにとって最高の環境に

一方、ビットコインについてヘイズ氏は強気な姿勢を維持した。

今後は1970年代にあったようなインフレ上昇が見込まれる中、「最もハードな形態であるデジタルマネー」のビットコインにとって「これ以上良いことはない」と主張。新型コロナウイルスで米政府がマネーを人々に直接渡す計画を立てる中で、「政府は自国通貨のデジタル化を進めなければならないだろう」とし、デジタル通貨に世間が慣れるだろうと指摘した。

「一度世間がデジタル版の法定通貨を理解すれば、インフレによる破壊を避けるために彼らはそのハードバージョンを探すだろう」

その上でヘイズ氏は、「S&P500が寝返りを打って2000をテスト」し、「全ての資産クラスが再び吐く」時にビットコインの価格が3000ドルを再びテストする可能性はもちろんあると話しつつも、「私の2020年末の価格ターゲットは2万ドルのままだ」と述べた。