オランダの首都アムステルダムは新型コロナウイルス後の持続的な経済を見据えて「ドーナツ経済学」の考え方を採用する方針を決めた。ガーディアンが4月8日に報じた。
ドーナツ経済学は、英国の名門大学オーックスフォード大学の経済学者ケイト・ラワース氏によって提唱された。ドーナツ経済学にとって経済活動のゴールは、地球が提供する選択可能な手段の中ですべての人々の中核となるニーズを満たすことだ。
新型コロナ後はドーナツ経済学
ドーナツ経済学の肝は、持続的な未来を作るために環境面と社会面の問題を解決しドーナツの中身(緑色)におさめること。ドーナツは、「穴」と「外側」の間に位置しており、人々のニーズと地球のニーズが合致するところと定義される。
ドーナツの中身は、我々が良い生活を送るために必要最低限な食料や綺麗な水、家、衛生、エネルギー、教育、ヘルスケア、男女平等、収入、政治的な発言などが含まれている。国連(UN)の持続可能な開発目標(SDGs)に沿ったような内容となっている。
一方ドーナツの外側には、地球の資源に関する9つの分野がある。使いすぎの場合は赤で示されており、アムステルダムの場合は「過剰な土地の利用」や「気候変動」、「海の酸化」、「過剰な肥料の使用」で行き過ぎという結果が出ている。
例えばアムステルダムでは、ほぼ20%の住民が高い家賃に生活を圧迫されており、6万人が家を見つけられていない状態だ。1つの解決策はもっと多くの家を建てることかもしれないが、その時、アムステルダム内での二酸化炭素排出量は1990年代の水準より31%も多いという現実も直視しなければならなくなる。
ガーディアンによると、4月8日にアムステルダムは公共政策の判断材料としてドーナツ経済学のモデルを採用することを正式に決定。都市としては、世界で初の試みとなるという。