フレームワークベンチャーズの共同創設者によれば、人工知能(AI)は分散型自律組織(DAO)にとって欠けていたピースである可能性があり、訓練されたAIモデルはブロックチェーン上で価値ある資産となるかもしれない。

コリア・ブロックチェーン・ウィークで、暗号資産に特化したベンチャーファームであるフレームワークベンチャーズ共同創設者、ヴァンス・スペンサー氏は、AIとブロックチェーン技術がどのように関係するかについて4つの予測をコインテレグラフに語った。

スペンサー氏によれば、最大の影響の1つは、AIがついに「自律」を分散型自律組織にもたらすことだ。

DAOは、中央権力が存在しない共通の目標を共有する分散型の組織という概念に基づいて設立された。しかし、DAOの多くはまだ完全な分散化や自律化からはほど遠い。

「実際には自律しておらず、中間に多くの人々がいる。AIがDAOの概念を実現する唯一の方法のようだ」とスペンサー氏は語った。

今年5月、ステーブルコインのDAIを手掛けるメーカーDAOは、AIを用いて「ガバナンスの均衡」を創出することに強く焦点を当て、そのエコシステムをアップグレードさせる5段階のロードマップを発表した

メーカーDAOの共同創設者ルーン・クリステンセン氏によれば、ロードマップの第3段階では、ガバナンスの一部を改善し、場合によっては自動化することを目指したAIツールが導入される予定だ。

クリステンセン氏は、これらのAIツールは初期段階では「深く関与しているインサイダーと周辺のコミュニティメンバーとの間の競争条件を平等化する」のに役立つが、最終的にはDAOが「リーダーシップや中央権力を必要とせずに」そのプロセスと決定を時間とともに改善することを可能にすると付け加えた。

「メーカーが大量の資金を持ち、AIによって統治されるとどうなるのか?」とスペンサー氏は問いかけた。「そのAIは非常に興味深いことができ、それには人間の介入がほとんど必要なくなる」と彼は付け加えた。

トレーニングされたAIモデルが価値を持つ

スペンサー氏はまた、トレーニングされたAIモデルがブロックチェーン上でトークン化される未来を予見している。彼は、その初期の例として、プレイヤーがAIモデルを訓練して自分たちの代わりに戦うようにする、イーサリアムネイティブの分散型アプリとゲームである「AIアリーナ」を挙げた。フレームワークベンチャーズは2021年にAIアリーナの500万ドルのパラダイム主導のシードラウンドに参加した。

スペンサー氏は、AIアリーナではプレイヤーが直接ファイターを操作するのではなく、キャラクターはプレイヤーが所有し訓練したAIモデルによって操作されると説明した。

彼は、これがゲームのパラダイムを変える一方で、AIモデルのオンチェーン所有権が「暗号資産の文脈で本当に生きてくるところだ」と指摘した。「おそらく最も価値のある資産の一部は、トークン化されたAIモデルになるだろう。少なくとも私の理論ではそうだ」とスペンサー氏は語った。

ほかのユースケース

一方、分散型コンピューティングマーケットプレイス(アカシュネットワークやレンダーネットワークなど)も、AIの成長において暗号資産が一部を担う可能性がある。

ブロックチェーンベースのプロトコルは、購入者がプロバイダーからアイドル状態のコンピューティング処理能力を購入できるマーケットプレイスとして機能する。これは、現在のGPUチップの不足を考えると特に重要だとスペンサー氏は説明した。

スペンサー氏はまた、ブロックチェーン技術はAIが提供する情報の監査と検証に重要だと主張した。「たとえば、ChatGPTという特定のモデルがあなたに答えを出していること、BardやUAEのモデルであるFalconではないことを証明したいとする。それをブロックチェーン上で証明することができるだろう」とスペンサー氏は説明した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン