ベンチャーキャピタル企業のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が、政治家への資金提供という新たな戦略で仮想通貨と人工知能(AI)の規制を推進したいと考えている。

a16zの共同創設者ベン・ホロウィッツ氏は12月14日の投稿で「テクノロジーによる明るい未来を支持する候補者を我々は支援する。重要な技術を抑制しようとする者には反対する」と述べた。「寄付する全額は、同じ考えを持つ候補者を支援し、米国の高度なテクノロジーの未来を潰そうとする候補者に反対するために使われる」と付け加えた。

ホロウィッツ氏によると、a16zがテクノロジーに友好的な政治家を促進するためにロビー活動に乗り出すことは「初めて」のことだ。しかし、フォーブスによると、2022年10月にはニューヨークの議員のための資金集めを行っていたという。

ホロウィッツ氏は特に、より良い世界を実現するためのテクノロジーとして、ブロックチェーンベースの技術とAIの2つを強調した。分散型技術は「中央集権的な大手テック企業が成し遂げたものよりも公平で包摂的な経済を創出する」とホロウィッツ氏は指摘し、AIは「これまでに経験したことのない生活水準へと全人類を引き上げる可能性がある」と述べた。

a16zは数多くのWeb3企業に投資しており、アバランチェ、コインベース、ダッパー・ラボ、リド・ファイナンス、ナンセン、オープンシー、ユニスワップ、ワールドコインなどに投資している。

ホロウィッツ氏は、規制に完全に反対しているわけではないと強調した。「質の高い規制は、産業を繁栄させると同時に消費者を保護することができる」としつつも、「政治化された規制」が産業を壊してきたと述べた。「米国の最良の日々は、我々が世界の技術的なリーダーシップを保持すればこれからだ。それを損なうものは、誤った規制政策だ」とホロウィッツ氏は述べた。

巨大テック企業はワシントンDCで数多くのロビー活動を行っているが、公正な規制を提唱するよりも「独占を維持すること」に関心を持っているとホロウィッツ氏は述べた。

a16zは10月に「テクノ・オプティミスト・マニフェスト」を発表し、いくつかの非現実的な意見を共有したため、広範囲な批判を受けた。a16zの意見の1つには「(規制による)AIの減速は命を奪うことになる」というものがあった。ファイナンシャル・タイムズの金融コラムニスト、ジェミマ・ケリー氏はこの意見を批判し、「制約のない技術の『加速主義』は悪いアイデアだ」と主張した。2023年3月には、テスラのCEOイーロン・マスク氏やアップルの共同創設者スティーブ・ウォズニアック氏など2600人以上の技術リーダーや研究者がAIの開発を「一時停止」するよう求める嘆願書に署名し、AIが「社会と人類にとって深刻なリスクをもたらす可能性がある」との懸念を共有している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン