サイト閲覧者のパソコンで仮想通貨のマイニングを行うプログラム「コインハイブ(Coinhive)」を使うのは違法なのかを巡り開かれた裁判で、横浜地裁は27日、ウェブデザイナーの男性(31)に無罪(求刑罰金10万円)を言い渡した。弁護士ドットコムNEWSが報じた

この男性は、17年9月から11月にかけ自身が運営するウェブサイトでコインハイブを導入。不正指令電磁的記録保管の罪に問われた。横浜簡易裁判所で罰金10万円の略式命令を出したが、男性側は命令を不服として正式な裁判に訴えていた

検察側は、男性が運営するサイトではマイニングについて表示がなく、閲覧者はマイニングが行われているという認識がなかったと主張。一方、弁護士側は「ユーザーがウェブサイトを閲覧する際、自分のPC上で知らないプログラムが動くことを想定している」とし、「コインハイブはユーザーの計算機を壊したり、情報を勝手に抜き取るものではなく、単に計算を行うに過ぎない」と主張していた。

コインハイブを巡っては昨年警察が一斉に摘発を行い、議論を呼んだ。警察庁は昨年6月に仮想通貨をマイニングするツールについての注意喚起を掲載。「(仮想通貨の)マイニングツールを閲覧者に明示せずに同ツールを設置した場合、犯罪になる可能性がある」と警告した。しかし、専門家からはユーザーに無断でCPUに負荷を与えるならば、ウェブサイトの広告も同様だと批判する声も出ていた。

今回の裁判では、(1)コインハイブは不正指令電子的記録(コンピューターウイルス)に当たるか、(2)男性に実行の用に供する目的(他人に実行させる目的)があったか、(3)故意があったかどうか、など3点が争点となっていた。