NFT(ノンファンジブル・トークン)やゲーム用仮想通貨として開発されたエンジンコイン(ENJ)価格が、最近のNFTブームの波に乗り、急騰している。

コインテレグラフ・マーケットとトレーディングビューのデータによると、ENJ価格は2月23日には0.34ドルだったのが、3月15日には史上最高値となる3.09ドルまで1ヶ月で800%の上昇を見せている。

ENJ/USDT 4-hour chart. Source: TradingView

ENJが爆発的に上昇した理由としては、イーサリアムのスケーリングソリューションであるジャンプネット(JumpNet)の発表や、複数の仮想通貨取引所への上場による取引量の増加、NFTブームの3つが挙げられる。

NFT取引の安価な手数料

ENJの勢いが本格的になったのは、3月初旬にジャンプネットを公開してからだ。ジャンプネットは、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・オーソリティ(PoA)を使用し、ガス手数料を必要とせずに即時にオンチェーン取引を可能にする、イーサリアムブロックチェーンのプライベートバージョンだ。

分散型金融(DeFi)プロトコルによるイーサリアムネットワークの使用が増え、NFTの人気が高まったことで、取引手数料の高騰は仮想通貨コミュニティが直面している最大の課題だ。

4月6日にサービス開始を予定しているジャンプネットは、ユーザーがエンジンコインやERC-1155トークンを無料で送受信できるだけでなく、ERC-1155トークンの発行、取引、配布を無料で行えるようにすることで、NFT分野での手数料高騰といった課題解決を目指している。

さらにエンジンは将来、NFT向けの分散型ブロックチェーンであるEfinityを統合する計画を明らかにしている。これにより「次世代トークンの機能や、あらゆるブロックチェーンからのアセットをサポートする」計画だ。これによってマルチチェーンを使った相互運用を可能にし、どのブロックチェーンでもジャンプネットに移行することで取引が無料で行える。

取引所での上場

ENJ価格の上昇の第2の原動力は、仮想通貨取引所への上場が相次いだことだ。これによって取引量は過去最高を記録し、オンチェーンでのアクティブアドレスも急増した。

Number of active addresses holding ENJ. Source: Glassnode

ENJの上場は1月にコインチェックで行われた後、2月下旬にはクリプト・ドットコムとFTXで上場した。

さらに分散型取引所であるBancorの流動性マイニングに投票されたことや、フォビ・グローバル、OKEx、ジェミナイなどの各取引所に上場したことなどが挙げられる。

NFTブーム

ENJ価格が3月に急騰した3つ目の理由は、デジタルアートなどでNFTがブームになっていることに関連している。これはプロジェクトにおける新たなパートナーシップにも影響を与えているようだ。

エンジンのエコシステムに加わったゲームとして、「Age of Rust」、「The Six Dragons」、「Ludena Protocol」、韓国のゲームに特化したソーシャルアプリ「GameTalkTalk」などがある。

コインテレグラフ・マーケットのVORTECSデータから、3月の上昇に先立って、2月28日にENJの強気の見通しを検出していた。

VORTECSスコアはコインテレグラフ独自のもので、市場のセンチメントや取引量、価格変動、ツイッターの活動などを組み合わせて、市場状況を比較したものだ。

VORTECS™ Score (green) vs. ENJ price. Source: Cointelegraph Markets Pro

上記のチャートに見られるように、ENJのVORTECSスコアは緑色を示し、上昇。価格がその後3週間にわたって上昇し始める数時間前に高値67を記録した。

ENJのVORTECスコアは、3月3日に31の安値をつけた後、再び上昇に転じ、3月10日には89の高値をつけた。これはENJが3.09ドルの史上最高値をつける5日前のことだ。

エンジンは、ノンファンジブル・トークンの採用と、様々なブロックチェーンから手数料無料の環境構築を目指しており、現在の強気の市場でさらなる成長を遂げることができる立場にある。

トークン化の概念が美術品だけでなく、不動産や歴史的文書などにも広がっていく中で、ユーザーフレンドリーなNFTのエコシステムを提供するプロジェクトは、急速に発展する仮想通貨業界の中心的な存在になれる可能性を秘めている。

ここで述べられている見解や意見は、あくまでも筆者のものであり、コインテレグラフの見解を必ずしも反映するものではありません。あらゆる投資や取引の動きにはリスクが伴いますので、意思決定の際にはご自身で調査を行ってください。
 

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン