ビットコイン価格分析は最近ありふれすぎていて、どれを信じれば良いかわからない。保合いが続く中、アナリストは強気派と弱気派に分かれて叫び合っている。一般投資家にとってノイズは混乱の元になる。シグナルと見分けるのが難しくなる。
最近の強気派と弱気派のシナリオについて改めてまとめてみよう。我々は仮想通貨の恐怖&強欲指数(Crypto Fear & Greed Index)、ビットコイン黄金比の累乗(the Bitcoin Golden Ratio Multiplier)とボリンジャーバンド(Bollinger Bands)に注目した。
1万ドルが新たな1000ドル?
今月初め、人気ビットコインアナリストのPlanBは以下のようにツイートした。
「ここ3ヶ月のビットコインは魔法の力を持つ1万ドルの突破に苦戦している。2017年に1000ドル突破に苦戦した時と同じような感じだ。我々は、その後何が起きたかみんな知っている」
同じことに疑問を持ったトレーダーは多かったようだ。過去2ヶ月の超強気派の心理としては、以下のようなものがあげられるだろう。
- なぜ、価値保存手段として機能するビットコインが、主流マーケットのボラティリティ(変動幅)に対するリスクヘッジとして機能することで急騰していないのか?
- なぜ、ビットコインが保合いになって弱気になっているのに、アルトコインが100%以上上昇する新たなアルトコインの季節が始まらないのか?
- なぜ、バックトが来月ビットコイン先物を開始するのに相場が反応していないのか?
2017年1月2日までビットコインは1124日間、1000ドル未満で取引をしてきた。一度1000ドルを超えたら、次の1000ドルのハードルは今までにないスピードで超えていった。1000ドルから2000ドル到達までに要した日は、23日だ。ビットコインが5000ドルに到達した時には、1000ドルプラスに要する日は10日になっていた。
現在、ビットコインは過去2週間1万ドル突破に苦戦している。PlanBのようなトレーダーは、1万ドルが新たな1000ドルではないかと考え始めているようだ。
「仮想通貨の恐怖&強欲指数」が記録的低水準
投資家心理はビットコイン価格に大きな影響を与える。PlanBの指摘も一理あるだろう。
既報の通り、8月15日に「仮想通貨の恐怖&強欲指数」は「極端な恐怖」の水準までさがり、ビットコインが3000ドル台まで下がった12月16日以来の低さを記録。その1週間後には、5まで下がった。
オールターナティブ・ドット・ミーが提供する仮想通貨の恐怖&強欲指数は、0(極端な恐怖)から100(極端な強欲)の間で日々数値を更新している。
オールターナティブ・ドット・ミーによると、「極端な恐怖」は買いの機会である可能性を示している。
(出典:Alternative.me 仮想通貨の恐怖&強欲指数」)
現在、仮想通貨の恐怖&強欲指数は30で、「恐怖」の水準となっており、投資家心理は回復している。
トレーダーは、1万ドルのサポート陥落を気にしてポジションを積極的に取りたがっていないのかもしれない。
直感だけではない
もちろん、投資家心理だけで価格動向は予想しきれない。テクニカル分析の助けが必要だろう。
2本の移動平均線を使ってトレンドを探るMACD(移動平均収束拡散法)を週ベースで見ると、MACDライン(青色)とシグナル(オレンジ)が2019年2月以来で始めて弱気サインを示すクロスをしている。
MACDはシグランルを先週末に下回った。また、ヒストグラムもネガティブに転じており、弱気派の領域に入ったと解釈できるかもしれない。ただ、MACDは、ずれがあり、現在の価格動向を正確に反映するものではない。
実際、ムラッド・マフムドフ氏のようなトレーダーは、MACDに基づいた弱気予想に反論している。
「週ベースのMACDを見て「弱気派のクロス」だと指摘する人がいる。まるで運命の審判が下されたかのようにね。皮肉なことに、前回の強気相場でも毎回、底をつけていた」
その上でマフムドフ氏は、次のように述べた。
「繰り返すのはこれが最後だ。これは、強気相場だ」
絶対的なことは言えないが、いつもアナリストの予想に反してビットコインが動くことを考えると、強気派と弱気派の両方の可能性を考慮した方が良いだろう。
ボリンジャーバンドはタイトに
短期では、1日あたりの価格帯別出来高(VPVR)は、ビットコインが8750ドルから7500ドルまで下がる可能性を示唆している。7500ドルは、上昇に対するフィボナッチ・リトレースメントの61.8%である7250ドルに近い。多くのアナリストが、とりわけパラボリック(放物線を描く上昇)が終わった後、フィボナッチ・リトレースメントの61.8%の重要性を強調してきた。
売却高が購入高を上回っている。しかし、全体的な取引高は減少傾向にあり、ボリンジャーバンドが示す価格の変動範囲はタイトになってきている。こうした減少は、普通、ビットコインが大きな動きをする前に起きる。
一方、ビットコインは対称型のトライアングル内で保合いを続けている。これを上方に突破すれば、ビットコインは1万1400ドルでハイヤーハイをつけ、その後、1万1790ドルまで上がることを示唆している。
「黄金比の累乗」によると蓄積フェーズか
ビットコインのマクロマーケット構造と価格動向を分析するのに使うのは、フィリップ・スウィフトが考案した黄金比の累乗だ。このツールは、ビットコインの長期の価格を350日間移動平均とともに追跡し、350日間移動平均を黄金比(1.68)とフィボナッチ順列(1,2,3,5,8,13,21)で掛ける。
スウィフトによると、黄金比の累乗は、以下のようなものを示すことができる。
- サイクル内での高値と安値を一貫して正確に反映する。
- 歴史上の全てのマーケットサイクルのトップをみつける。
- 次のサイクルでいつ天井をつけるのか予想する。
(出典: Philip Swift「ビットコインの黄金比の累乗」)
現在、ビットコインは緑(350DMA x 1.6)と赤(350DMA x 2)の下にある。赤は「弱めの強気(Low Bull)」で緑は「蓄積(accumulation)」を意味している。
歴史的に赤(350 DMA x 2)は、利益確定に適したポイントとして機能し、今回の強気相場の1万3800ドルと1万2900ドルの天井をしてきた。
黄金比の累乗は、日々チャートを眺めるのではなく、モメンタムで動くトレーダーに適しているかもしれない。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。全ての投資とトレードにはリスクが付きまとうものであり、あなたは投資判断をする前に、自分自身で調べるべきである。