デジタルアセットの世界

まず、デジタルアセットという言葉について。この用語は仮想通貨業界では頻繁にみかける言葉だが、最近のラスベガスで行われたMoney 20/20 カンファレンスにて特別なフレーズとして急速に浸透していたようだ。(支払いシステムに関するコンファブだったのだが、少なくとも10対1の割合で圧倒的に銀行家の方がビットコイン愛好家よりも多かった)率直に言って、暗号通貨よりはデジタルアセットと言った方が、全てが通貨のような振る舞いをするわけではないので技術的な面からみても、より的確なフレーズのようにも思える―事実、”プライベートブロックチェーン”の重要なポイントは、コンセンサスを打ち立てるための経済的なインセンティブなしにソフトウェアとして基礎となるテクノロジーを利用することだからだ。それこそがビットコインやオリジナルブロックチェーンの特徴であり、こうったものに全て共通していることはそれらが全て実際に存在する資産であって、ただのファイルではないということを明確にする手助けとなるのだ。二つとして同じものはないし、世界的に普及することでセキュアなストレージ管理が可能となり、ユーザーがデジタル資産を維持することができる。

 

2015年は何故ビットコインにとって当たり年だったのか、からまずは整理していこう。

まずは価格だ。ビットコインは取引可能な商品として、その二年間の弱気市場は過ぎ去ったように思える。(例えば株式市場や、石油の先物取引、ポークベリー、などの価値があるとみなされ世界的に取引されているもの、こういったサイクルはもちろん続いていくはずだ)1月上旬のBitstamp (最も例として挙げられる取引所だ)での最低価格は151ドルだったが、11月下旬までに価格は500ドルまで上がり短いピークを迎え、12月の終わりには400ドル代で落ち着いた。

 

そう、他のアセットと同じように、2013年での市場価格が最高値を付けたときに買って、まだその損失を取り返せていない人がいるかもしれない(同じようなことが、2007年に家を買った人や、1999年にYahoo!株を買った人に言える)しかしながら、長期的な目で投資を考え(少なくとも3,5年間は)ていた人は、平均1四半期の価格から倍以上に資産を増やしているはずだ。ビットコインに関しても同様に重要なのは(ジェネシスブロックが誕生してから新たに七年目を迎えらえることはとても喜ばしい)、その力が一致するということだ。ビットコインがきちんと機能するように、効果的に分散型決済を稼働させている大規模なマイニング業者たちは大体話を交わしていたであろうスケーリングビットコイン会議が二度開かれたのだが、現在は整然とそのボリュームを拡大する準備が整のっているようだ。

 

成長するということは、確かに何かを成し遂げた、という証でもある―現在の日々のビットコインの取引量は、大雑把に言っても6年前と比べて1,000倍近くに跳ね上がっていて、2013年11月の”ビットコイン強気市場”のピーク時の実に三倍だ。2001年のドットコムのメルトダウンによって、インターネット広告が持続可能なビジネスモデル(GoogleやFacebookによって予想よりもかなり早く証明されることとなったが)になるはずがないという懸念を生んだ当時のように、ビットコインの価値が二度と1,000ドルを超えることはないだろうと高をくくっていると、時間とともに確実なその確実な数字をもって、きっとそれは間違いだったと証明されるに違いない。

 

三つめは、ベンチャーキャピタルによるビットコインやブロックチェーンスタートアップへの投資額が増え続けているという点だ。トータルの投資額は2012年の200万ドルから大幅に上がり10億を超えている。そして様々な方法で資金が確保されている―少なくとも同じ年に35のメジャーバンクがプライベートブロックチェーンを作り出した企業へ投資している(基本的に、ビットコインのオープンソースコードのコピーは、内部の信頼できる限られたソースによってコンセンサスを制御できるように作られている―インターネット VS イントラネットの構図を考えるとわかりやすい)また、500万ドル以上の資金がAugurと呼ばれる分散型の予測マーケットにクラウドファンディングを通して集められ、そして待ちに待ったビットコインのオープンソース代替標準であるEthereumが登場するというわけだ。(2014年の半ばで暗号通貨業界では記録的な1,800万ドルの資金を調達している)

 

加えて、国内でのビットコイン利用(例えば、Gyftを利用すれば何百もの小売業者からビットコインを利用して割引で購入でき、Purse.ioを利用すれば、平均20%からそれ以上もの割引を受けてAmazonの商品を購入することが出来る)数はただ増えてきているだけでなく、活気づいてきている。

 

CryptoMarketがローンチ

私のラスベガスにあるインキュベーター、bCommerce Labsが初の消費者向けのプロダクトである、CryptoMarketをローンチする準備をしていて、これはビットコインや他のデジタルアセットを利用して、eBayやEtsyに売り出されているような商品を購入することが出来るオンラインマーケットプレースだ。我々はまた、ブロックチェーン上にデジタルアセットを置きトラッキングすることで、より効率的でセキュアな様々な消費者向けアプリケーションのトークンを生成しブロックチェーン上で物々交換が出来るように様々なe-commerce産業に働きかけている。さらにVRアセットにおける大規模なマーケットプレースからも支援を受けて、初のゲーム内暗号通貨であるVoxelusのローンチにも携わっている。

 

そう、ブロックチェーン、暗号通貨、ビットコイン、デリバティブ―様々な呼称があるにせよ―全ての事柄を考慮して、そのトレンドラインを鑑みても、2015年は転機となる年だった。

2016年はさらならるイノベーションを生み、発展し、さらなる価値を生み出す年になるだろう。

 

著: Michael Terpin, BitAngels/Transform Group

 

Michael Terpin氏は最初のビットコイン、ブロックチェーン、デジタルアセット投資のアンジェルグループであるBitAngels  (www.bitangels.co) を2013年の早い時期に共同設立した人物だ。彼はまたラスベガスにあるbCommerce Labsというデジタルアセットのインキュベーターファンドも運営していて、ビットコイン業界におけるPR企業で、最近ではCoinvateというブロックチェーンコンサルティング会社のスタートアップにも関わっているTransform Group (www.transform.pr) のCEOでもある。Terpin氏は今週行われたテック系メガカンファレンス、CESで、CESのDigital Money Forum (www.digitalmoneyforum.com) の一員として、史上初のビットコイン、ブロックチェーンパネルでの議長を務めることが決まっている。

 

実は、Terpin氏はPurse.ioやbCommerce Labsへの出資者であり、Transform GroupはAugurやGyft、Voxelusの親会社である。