オンチェーン指標とデリバティブデータから、ビットコイン価格は底を打っていない可能性があると言えるかもしれない。

トレーダーはビットコインが5月12日に3万ドルまで約50%下落して以来、トレンドが反転するタイミングを図っている。しかし現在まで、トレーダーの自信は失われたままだ。

トレンド反転の兆候を探るためにテクニカルパターンや米国のCPI、仮想通貨取引所の残高などあらゆるデータをトレーダーは探っている。一部トレーダーは24日に4万ドルを回復すれば、さらなる上昇が見込めると指摘する声も出ていた。

そして、その2日後の26日にビットコインは4万ドルを回復した。ただ、これは長くは続かず、すぐに下落。こうした動きについて、3万ドルの底値をテストする必要があると主張する声も出ている。すでに底値を打ったと主張するものもいるが、実際はそうではないと言えるだろう。

底値はまだ早い

コール(買い)オプションは、満了時に買い手が固定価格でビットコインを取得することができる。一方、プット(売り)オプションは買い手に保険をかけ、価格の下落を防ぐ。

マーケットメーカーやプロのトレーダーが強気に傾くと、コールオプションに高いプレミアムが要求される。この傾向は、25%デルタスキュー指数がマイナスとなって現れる。一方、ダウンサイドのプロテクションコストが高くなれば、デルタスキュー指数はプラスになる。

Bitcoin 30-day options 25% delta skew. Source: laevitas.ch

25%デルタスキュー指数がマイナス10%とプラス10%の間で動いている場合は、通常は中立とみなされる。このバランスの取れた状況は5月16日まで続いていたが、ここでビットコインは76日間保持していた重要な47000ドルのサポートを失ってしまった。

市場が悪化すると、25%デルタスキュー指数も悪化し、プロテクティブオプションのコストが急増した。デルタ指標が5%レベルに近いより中立的なパターンを確立するまでは、市場の底を呼ぶのは時期尚早だろう。

個人投資家は冷静に

最近アクティブになっているビットコイン供給についても見てみよう。

Active supply that transacted at least once in the trailing 30 days. Source: CoinMetrics

2021年4月14日の64900ドルの史上最高値時は2020年10月1日からの500%の価格上昇した。上記の図で示すように、この上昇期間中の数ヶ月間で供給量が大きく増加した。その後、この指標が急激に減少したことは、投資家が現在の価格レベルでの購入に興味を示さなくなったことを示している。

現在、過去30日間で220万BTCが動いており、これは2020年10月以前に見られたレベルを大幅に上回っている状態だ。トレーダーは、少なくとも市場が4万ドル以下のレベルに供給量が減少するまで、ビットコインが底を打ったとは考えない方が良いだろう。