オンタリオ州教職員年金基金(OTPP)は、仮想通貨からの投資を控えることを決定した。

この決定は、資産額1900億ドル以上を管理するOTPPが、2022年11月に破綻した暗号資産取引所FTXへの投資で、投資した金額全額9,500万ドルを失ったことを受けてのものだ。

OTPPは、FTXに投資した多くの投資家の1つであり、2021年の強気市場の際と、2022年初めのシリーズC資金調達ラウンドの際に2回投資していた。

OTPPの最高経営責任者であるジョー・テイラー氏は、フィナンシャルタイムズとのインタビューで、同年金基金が再び仮想通貨投資を急ぐことは賢明ではないと語った。テイラー氏は、FTXで起こったことをまだ処理している段階であり、デジタル通貨のような新興資産に投資することにははるかに慎重になるだろうと述べた。同年金基金は、33万人以上の教師や学校関係者に年金を提供している。

「私たちは時間をかけて事業に関する多くのデューデリジェンスを行った。しかし、思っていたような結果にはならなかった。必ずしも、バランスの取れた決定を下すために必要な情報がすべて提示されたわけではなかった」

OTPPは現在、不動産などのより伝統的な市場に投資を向けることを検討しており、民間信用部門にも関心を持っているという。

OTPPのほかにも、ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)というもう一つの著名な年金基金が、問題を抱えた仮想通貨レンディング企業セルシウス・ネットワークへの1億5,470万ドルの投資全額を失った。セルシウスは、2022年第2四半期の仮想通貨の連鎖倒産の際に破綻した多くの仮想通貨レンディング企業の中の一つだ。

当時世界第三位の仮想通貨取引所であったFTXの破綻劇は、仮想通貨エコシステム全体に大きな影響を与えた。投資家やベンチャーキャピタリストの仮想通貨エコシステムへの信頼は低下し、仮想通貨の資金調達は激減した。また、仮想通貨がメインストリームで採用されるという物語を変え、世界中から規制当局の厳しい監視を受けるようになった。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン