米国の仮想通貨ヘッジファンドであるエレメント・デジタル・アセット・マネジメントは、最近の仮想通貨市場と1990年代のITバブルを比較した分析の中で、アルトコイン相場の下落はまだこれからという見方を示した。17日に米マーケットウォッチが報じた。仮想通貨市場全体の時価総額はすでにピークから8割近く減少しているが、エレメントはまだ減る余地があると考えているようだ。

 エレメントの分析によると、歴史的にベンチャーのプロジェクトは一定のペースで消えていく傾向がある。エレメントは、2015年1月時点の時価総額トップ100の仮想通貨のうち3分の1以上が消えたが、2018年1月時点の時価総額トップ100の仮想通貨のほとんどが残っていると指摘し、今後2、3年で多くのコインがなくなるだろうと予想した。

「プロジェクトの歴史を我々が分析したところ、アルトコイン市場はまだ落ちるところまで落ちていない。投資家は、一部のコインのプロジェクトが失敗に終わり、最終的に上場廃止になることによって、投資の全てを失う覚悟をすべきだ」

 一方エレメントは、こうした中でも「十分に分散化されていて、プロジェクトの成否が創業チームに依存しないプロジェクト」を選ぶべきと指摘。また、すでに利益を上げていたり、マイニング報酬などで継続的な資金を得られているプロジェクトも生き残る確率が高いという。

 イーサリアムとカルダノの共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、6月にコインテレグラフ日本版とのインタビューの中で、「十分に分散化されているかどうか」は米国証券取引委員会(SEC)がトークンを証券と判断する時に参考にする基準になるという見解を示していた。

 エレメントの分析にも関わらず、イニシャル・コイン・オファリング市場に対する熱狂はまだ収まっていないようだ。コンサルティング企業のPwCによると、今年の1月から5月の間におけるICOの調達額は、すでに2017年全体の2倍に到達した

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