コンサルティング企業PwCとスイスのクリプトバレー協会が共同で発表したレポートによると、仮想通貨相場が低調であるにも関わらず、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)のブームはまだ続いていることが分かった。コインテレグラフドイツ版が29日に報じた。

 レポートによると、今年の前半にICOの資金調達額は、過去最高を記録。2018年の1月から5月の間におけるICOの調達額は、すでに2017年全体の2倍に到達したという。PwCスイスは同時に出したプレスリリースで次のように述べた。

「年初来で申請されたICOの件数は537で資金調達額は137億ドル以上。一方、2017年のICO件数は552件で資金調達額は70億ドル以上にとどまった。平均的な調達額も1280万ドルから2550万ドル強と去年と比べてほぼ2倍になった。」

とりわけ注目されたICOとして名前が挙がったのは、テレグラムとEOS。チャットアプリのテレグラムは17億ドルを調達した一方、仮想通貨のEOSはその2倍以上となる41億ドルを調達した

またレポートによると、現在、ICOの世界的なハブとして重要な国は、アメリカ、シンガポール、スイスの3カ国。規制の進捗状況が理由だという。スイスは特にツーク市の「クリプトバレー」から恩恵を受けている。また香港やジブラルタル、マルタ、リヒテンシュタインは、シンガポールやスイスのモデルに倣って一定の成功を収めたとされた。

 さらにICO規制の世界的な潮流に関して、レポートは、3つのタイプに分別した。

 「アメリカは、ICOで発行されたトークンの全ては証券として扱う中央集権的なシステムを採用。ヨーロッパは、これとは異なり、例えばスイス金融市場監査局(FINMA)は、トークンを資産、支払い、ユーティリティートークンの3つに分類している。最後にアジアは、規制に統一感がなく、ICOの厳格な禁止派から積極的な推進派と様々なタイプがある」

 これまで規制機関や伝統的な金融機関はICOに関して懐疑的な姿勢を崩しておらず、監督機能が働いていないことを批判してきた。ナスダックのフリードマンCEOは、最近、規制が整備されていないことからICOは「深刻なリスク」を個人投資家に与えると警告。今月初めには、SECのクレイトン委員長がICOや証券であってそのように規制されるべきとの考えを繰り返し表明した