本稿はWadzPay創業者アニッシュ・ジャイン(Anish Jain)氏の半生記の完結編(第三部)である。第二部はこちら。
急速な展開
2021年の前半は、採用ラッシュとなった。2022年Q1には、チームは50人以上のメンバーに成長していた。累計で250年以上の経験年数を持つ経営幹部グループの誕生だった。採用方針は変わっても、最も優秀な人材のみを採用し続けた。SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)、Mastercard、Ripple、General Electric Capital、Citicorp、Pundi X、Hongkong and Shanghai Banking Corporation Groupから、スーパースター級の人材を集めた。
ブロックチェーン業界で最も高額な給与が支払われていることは、WadzPayのまぎれもない成果であり、チームは世界中に門戸が開かれている。
WadzPay Asia Pacificの社長ケルビン・リー(Kelvin Lee)氏は、RippleとMastercardでの経験を買われ、最近同社に加わった。リー氏は「WadzPayへの参加を決意したのは、他の企業が提供していない、B2Bの完璧なデジタル決済ソリューションを提供しているからだ。Rippleは国際間のB2Bが得意で、MastercardとVisaはB2Cが得意だ。後者は、WadzPayのブロックチェーンエコシステムと組み合わせることで、分散台帳技術を基盤としたデジタル決済サービスの広範なフレームワークを実現できるだろう」と語った。
インドを拠点とする開発チームも急速に拡大している。2022年の採用上の課題は、開発能力の向上だった。WadzPayは、2021年Q4から2022年Q1にかけての提携が生んだ莫大な利益を財源に、今年200人の採用を計画している。
2022年には、シンガポールとドバイに事務所を開設した。ITプロフェッショナルと開発者の採用が功を奏し、インドに2つ目の開発センターが開設された。1つ目のオフィスが手狭だったため、今回は4倍のスペースをとった。
WadzPayの2022年の展望
WadzPayは現在、複数のパートナーとのローンチを準備中で、概念実証を進めている。最終交渉の段階にあるパートナーもおり、その中には、e-Yuanの国際間中央銀行デジタル通貨取引のトライアルの可能性も含まれている。同チームは、店舗オーナーがデジタル通貨を受け取ることを可能にする、Eコマースの主要プラットフォームとの統合ツールを完成させた。隠し玉のグローバルパートナーシップも、本記事の発行後、まもなく発表されるはずだ。デジタル通貨業界の話題をさらうだろう。
パートナーシップの拡充と垂直的成長軌道に対応するため、WadzPayは現在、南アフリカのヨハネスブルグ、スイスのチューリッヒ、そして北米にオフィスを開設することを計画している。年末までには、200人強のメンバーを擁するチームが編成される予定だ。
ブロックチェーン戦略担当SVPのスタス・マドロスキー(Stas Madorski)氏は、WadzからWadzPayへの移行という転換期のマーケティング活動を指揮した。そのときジャイン氏は彼のビジョンと、ブロックチェーンベースの決済エコシステムが世界中の人々の生活にどれほどの変化をもたらすかについて、「私たちの現在の会社は、以前の会社とは全く違う。その過程では、いくつかの失敗があった。しかしいまや、自分たちの会社の大変革に成功し、世界中でブロックチェーン革命を起こす原動力になりつつある。」と熱く語ったとマドロスキー氏は言う。
「バルコニーで会議を行う数人だけの会社が、従業員がお互いの名前をほとんど知らない大企業に成長する奇跡的な過程を目の当たりにした。私たちは、潜在的なパートナーと出会うと、何ヵ月もの教育と特別な努力を費やして、トークン化やロイヤルティプログラムなどの革新的なソリューションを提供し得る優良企業へと育て上げてきた。私たちには信じられないほどパワフルなチームがある。彼らが今日はどんな新しいことを教えてくれるのか、毎日仕事に行くのが楽しみだ」
WadzPayのCEO兼マネージングディレクターのアニッシュ・ジャイン氏は、「Wadzでの失敗から、経済的・精神的に深刻なダメージを受けたが、今となってはこの挫折の経験をむしろ幸運に思っている。失敗は失敗から学べば失敗ではない。思えば2018-2020年は、私にとっての学習のマスタークラスだった。それは私をより強く、より密度の高い存在に変えてくれた。ネバーギブアップの精神。自分の信念に従い、チームを結成することが重要だ」と述べた。
いまやWadzPayにとって、人生はバラ色だ。WadzPayのビジョンを明確に理解し、その存在が決済業界で革命的であると認知しているブロックチェーンコミュニティからの盤石な支持によって、WadzPayは揺らぎようなくしっかりと地に根を下ろし、これからも存続していく。