Axie InfinityとSTEPNの爆発的なヒットにより、GameFiは一躍ブロックチェーン業界の花形となった。オンチェーンゲームのスタートアップはもちろん、老舗のゲームメーカーまでもがGameFiに殺到している。
GameFiは、DeFiとNFTのデリバティブを巧みに組み合わせることで、「プレイ・トゥ・アーン(Play-to-Earn)」の画期的なビジネスモデルを生み出した。一方で、オープンでインタラクティブなメタバースの世界からも取り込まれ、Web3のエコシステムへの重要なエントリとなってる。しかし、GameFiはいまだ導入期にあり、プロジェクト規模とユーザーエクスペリエンスの面でメインストリームに追いつくには、長い道のりがある。今後は、業界全体を俯瞰し、より高い視点からプロジェクト展開を注視していく必要があるだろう。
4月29日、Blocklikeは『メタバース:優れたGameFiの条件とは?』と題する討論会を主催した。GameFi業界のプロジェクトリーダー7名がライブ中継に招待され、優れたGameFiプロジェクトの条件、メタバースのエコロジー開発を支援するNFT、ゲームギルドなどのトピックについて、熱い討論が行われた。このイベントは、Binance LiveとMars Finance Liveの両方で行われ、4万人もの視聴者を集めました。以下は、討論会の議事録からの抜粋である。
- GameFiの長所と短所について。あなたの考えでは、GameFiプロジェクトを優れたものにするのは何か?たとえば、メカニズム、プレイアビリティ/エンターテイメント、プレイヤー間のインタラクション、収益化のエコシステム、MAU、コミュニティ内でのコンバージョン率、等々。
ジェームズ・リー(James Lee):「GameFi」や「メタバース」という言葉がひとり歩きしてしまっているように思う。私見では、GameFiやVRがメタバースと同義になるか、その先駆けとなると考えている。良いメタバースは、大量のユーザーの同期性と完全な経済性を備え、デジタルルールと物理的ルールの両方を満たすエクスペリエンスを提供しなければならない。これには、デジタルアイテム、アセット、コンテンツのデータに関して前例のない相互運用性が含まれる。
フランシス・バーワ(Francis Berwa):メタバースの形態やプロジェクトの質に関わらず、GameFiのプロジェクトが相互に連携できることに違いはない。ゲームタイトル間の関係は、かつてのように競争的なものとは限らない。我々はインターネットの新しい時代にいるからだ。メタバースは高価だが、閉鎖的で囲い込まれたWeb2と異なり、スケールの大きなゲームプレイができるだろう。
ルイス・シエ(Luis Hsieh):私はGameFiのプロダクト面に注目している。GameFiは結局は「ゲーム」なのだから、楽しいゲームを作り、より多くのユーザーを惹き付けるべきだ。そのためには、エンターテイメント性を強化する一方で、ソーシャルな要素の利点を保持すべきだと思う。
多くのオンチェーンゲームが、ギルド的なゲームファイナンスばかりに注力しているが、プレイアビリティも非常に重要だ。GameFi業界の「次の王」となるのは、新しいゲームの楽しみ方を発明した人間だろう。
ティル・メイヤー(Till Meyer):メタバースの根底には、シェアリングエコノミーの発想がある。あらゆる機能をつなぎ合わせてエコロジカルな目標が立てられる。我々はメタバース関連のタスクを、コアコンポーネントとGameFiに細分化する役割を担っている。優れたGameFiプロジェクトを作るには、まず第一に質の高いDeFiとその分散化が必要だ。
メタバースとGameFiのエコノミーデザインは、非常に先進的な考え方と言える。GameFiの定義には、①Web3との互換性、②従来型アプリケーションの再シミュレート、③これらの長所をもたらすブロックチェーンという3つの特徴があると考えている。
2.「Play to Earn」モードから生まれたX2Eの例として、「Move to Earn(動いて稼ぐ)」や「Learn to Earn(学んで稼ぐ)」がある。ファンを惹きつけ、マーケティングでポジティブフィードバックを引き出すために、オンチェーンゲームの効果的なブランド戦略やプロダクトは何か? あなたのプロジェクトの売りはどこか?
ジェームズ・リー(James Lee):我々の世界では、人々はバーチャルコンテンツや資産を保有し、家を建てるという体験ができる。そして、それらの楽しい体験は、NFTアセットが実装されたクリエイターエコノミーを通じてマネタイズすることができる。
クリエイターへのエンパワーメントに関して言えば、彼らが思い描いているのはプレイヤー向けのバーチャルコンテンツだ。私たちは独自のバーチャルリアリティの世界を創造している。超現実的かつソーシャルな要素を備え、没入感があり、高価でオープンな体験を提供する。さまざまなIPやコミュニティが、独自のコンテンツを提供している。
シャン・クマール(Shan Kumar):ゲームは人にストレスを感じさせる。ミニゲームでも、決してプレイヤーの思い通りにはならない。ストレスはやがて、超ストレスとなる。楽しみを与えるものではなくても、せめてゲームをしている間はユーザーをリラックスさせるテクニックを実装したいと考えている。勝ちを追求する場合にも、フェアなアプローチをするよう心がけている。
ルイス・シエ:私たちが想定しているのは、あくまでユーザーのためのものだ。新しいプラットフォームは楽しさだけでなく、ユーザーがいつでもどこでもゲームにアクセスできることを重視している。実績のあるベテランのゲーム開発者は、多くの喜びをもたらすだろう。
アンディ・コウ(Andy Koh):私たちはWeb3のビッグウェーブに乗っている。現時点で手っ取り早いのは、ソフトウェアを開発することだ。未来においては、有料のプレイヤーだけでなく、すべての人がオープンで経済的な分散化を享受し、実生活では手に入らない何かを手に入れられるゲームが主流となるだろう。
3. ユーザーをエンパワーするため、NFTなどの創造的な手段をどのように活用し、メタバースのエコシステムの持続可能な開発を行っていくつもりか? あなたのプロジェクトのクリエイティブな要素は何か?
ジェームズ・リー:現在普及している収益モデルは、長期的に持続可能なものとは言えない。「Play to Earn」において、NFTが高い価格を維持するには、あとから参入してくる後続のプレイヤー達が大枚をはたかなければならない。私たちは非常に多くのゲームがこのメカニズムに陥っているのを見てきた。
持続可能な経済を実現するためには、エコシステム内で新たな経済価値を生み、クリエイターが独自の仮想コンテンツを作成できるようにする必要がある。私たちは、短期間だけ持続する経済モデルよりも、長期継続的な経済モデルを待望している。
ルイス・シエ:現在、非常に多くのゲームギルドが存在している。いずれもが、自らのクリエイティブ性を発揮して、熾烈な競争市場で差別化を図ろうとしのぎを削っている。私たちは、ゲーマーの90%がモバイルフォンを使っていることに注目し、モバイルというプラットフォームをターゲットに定めた。よって、我々のプロジェクトのクリエイティブな要素は何かと問われたら、モビリティとブロックチェーンベースのプラットフォームだと答えるのが最も適当だろう。多くの人がゲームを作り、ブロックチェーンやモバイル分野に参入している。
GameFiプロジェクトは、SocialFiやメタバース以外の分野にも数多くある。だが、真に優れた統合プラットフォームはいまだに登場していない。スピード、実行、創造のすべての要件を満たす、バーチャルゲームプラットフォームのWeb3バージョンを構築する必要があるだろう。
ティル・メイヤー:優れたGameFiの要素を定義するのは、プレイヤー次第だ。自分ではゲームをしない人もいるが、GameFiの設計次第では、彼らも参加したいと思うだろう。
アンディ・コウ:最下層のレイヤーに加えて、eスポーツのプラットフォームも独創的なものなので、プロジェクトのマーケティングには役立つだろう。仮想エンティティや他のGameFiプロジェクトとのパートナーシップも数多く行われている。Web3への移行は、かつてない迅速さと適切なタイミングで行われた。
優れたGameFiプロジェクトとは何か? オープン性、所有権の明確さ、そしてプロジェクト運営における永続性の3つであることで、我々は合意している。ブロックチェーンの助けを借りることで、従来の企業がWeb3へ移行する準備はすでに整っている。
フランシス・バーワ(Francis Berwa):我々は、メタバースと相性の良いARをすでに取り入れ、独創的な生物のコンセプトをそこから借用している。我々は「架け橋」になりたいと考えている。それは多様性を生み出すための重要な要素の一つだ。ユーザーはデジタルパスポートを使って、仮想世界に入ることができる。費用対効果の観点だけでなく、ユーザーに出資や融資によりメタバース内で稼ぐ能力を与えることも重要なことだと考えている。
パネルホスト:
ユエンウォン(Yuen Wong):LABSグループのCEO
スピーカー:
1. アンディ・コウ(Andy Koh):GEMSのCEO
2. ルイス・シエ(Luis Hsieh):Game WonderlabのPR Manager
3. ジェームズ・リー(James Lee):World Overlayの創設者
4. シャン・クマール(Shan Kumar):Godjiraの創設者
5.ティル・メイヤー(Till Meyer): PlutoniansのCTO
6. フランシス・バーワ(Francis Berwa):Parallellの共同創設者