匿名性重視の仮想通貨「ジーキャッシュ(Zcash)」を展開する非営利団体ジーキャッシュ財団は、ブロックチェーン関連の開発企業パリティ・テクノロジーズと提携し、ジーキャッシュ用クライアント「ゼブラ(Zebra)」をオープンソースソフトウェア(OSS)として公開した。ジーキャッシュ財団が、6月17日付けプレスリリースで明らかにした

プレスリリースによると、ゼブラは、従来クライアント「ジーキャッシュディ(Zcashd)」で何らかの問題が発生した場合に冗長性を提供するという。ジーキャッシュ財団は、ジーキャッシュネットワーク全体のセキュリティが向上することを期待していると述べた。

ゼブラのような代替クライアントを用意することは、例えば、従来クライアントZcashdにおいてコンセンサス関連で不具合が発生した場合、Zcashd固有(あるいはクライアント一般)の問題か、ブロックチェーンとしてのジーキャッシュ側に問題があるのかといった原因を特定する場合問題の切り分けを迅速に行いやすくなる点で役立つという。

また、複数のプログラミング言語で開発されたクライアントが存在するという事実は、開発者にとって自分がなじみのある言語で貢献できることを意味するため、より幅広く開発者をを引き付けることに結び付くという。ゼブラであれば、モジラ主導のプログラミング言語「ラスト(Rust)」を用いて開発しており、Rust開発者は手軽にジーキャッシュ開発コミュニティに参加し、貢献できるようになると述べた。なお、ゼブラのソースコードのライセンスはGPL v3.0で、動作環境はウィンドウズ、macOS、リナックス。すでにGitHub上で公開されている。

パリティは、過去に仮想通貨イーサリアム(ETH)用クライアント「パリティ・イーサリアム」を開発した。パリティCTOのフレドリック・ハリソン氏は、ゼブラのメリットについて、次のように述べた。

「(多くのコア開発者がクライアントに取り組むことで)コミュニティは全面的に勝利する。(中略)ジーキャッシュは、レイヤー2(メインチェーン外)開発者だけでなく、末端のユーザーの快適さを効果的に調整できる、より多様なコミュニティを誇っている。」

なお、現所のゼブラはアルファリリース(初期実装)にあたり、テストネットでのみ利用するよう呼びかけている。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版